「たわしの箱」を3億円で購入?
鳥取県は新設する県立美術館の目玉として、現代アート作品を約3億円で購入。これに対して多くの賛否の声が寄せられため、2022年11月3日に鳥取県米子市で県による住民説明会が開かれ約50人が集まった。鳥取県は、今後も各地での住民説明会を調整したいとしている。
問題となっているのはポップアートの巨匠、アメリカのアンディ・ウォーホルの作品「ブリロの箱」。たわしの包装箱をモチーフにした作品で、2025年の春に鳥取県倉吉市でオープンする美術館の目玉として、県が5点を2億9145万円で購入した。1点は1968年に制作された希少なもので6831万円。他の4点は、ウォーホルの企画展に関わっていた美術関係者が1990年(ウォーホルの死後)に作ったもので、1つ5578万円。県議会の常任委員会で購入予定が報告されると、「日本人には全くなじみがなく、アメリカにあってこそ意味がある」「なぜ1点ではなく、5点必要なのか」など批判的な意見が寄せられた。ブリロは、スチールウールに石けんを含ませた食器洗い用のたわし。米Armaly Brandsは2010年、チャーチ&ドワイト(NYSE:CHD)からブリロ事業を買収。現在は、Armaly Brandsが販売している。
2022年5月9日にニューヨークで開催された「クリスティーズ」のオークションでは、ウォーホルがマリリン・モンローを題材に制作した作品がオークションにかけられ、1億9500万ドル(約250億円)で落札されている。落札額はパブロ・ピカソの「アルジェの女たち」のおよそ1億7900万ドルを上回り、オークションにかけられた20世紀の美術品としては史上最高額。ウォーホルはモンローが急死した1962年から、映画「ナイアガラ」の宣伝用写真をモチーフにしたモンローの肖像画を手がけるようになった。シルクスクリーンという版画の技法を用いて、同じ構図の色違いの作品を大量に作った。落札された「ショット・セージブルー・マリリン」はその中の1つで、1964年に制作されたもの。1964年の秋に、ドロシー・ポドバーというパフォーマンス・アーティストが、ウォーホルのスタジオ「ファクトリー」を訪れ、ウォーホルに「Shot」の許可を求めた。ウォーホルが写真撮影のことだと思い認めると、ポドバーは小型のドイツ製ピストルを取り出して、マリリンの額めがけて撃った。修復された作品の背景は、赤、オレンジ、水色、セージブルーの4色。弾痕の残った4枚の作品は「Shot Marilyns」と呼ばれている。
※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。
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