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人工光合成でソーラー水素

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)は、人工光合成により100平方メートル規模で、ソーラー水素(太陽光で水を分解して生成するクリーンな水素)を製造する実証試験に成功した。東京大学などとともに「太陽光受光型光触媒水分解パネル反応器」と「水素・酸素ガス分離モジュール」を連結した「光触媒パネル反応システム」を開発。研究成果は、2021年8月25日(英国時間)に英国科学誌「Nature」のオンライン速報版で公開された。

光触媒パネル反応器の上面は透明なガラス製で、中に25センチ角のチタン酸ストロンチウム光触媒シートを格納。光触媒シートとガラス窓の間には0.1ミリのわずかな隙間があり、そこへ水を供給して反応させる。反応器を連結して3平方メートルのモジュールを、さらにそれらをプラスチックチューブで連結して100平方メートル規模の反応器を組み立てた。モジュールには自動的に水の供給量を制御する機構が組み込まれている。水分解反応で生成した水素と酸素の混合気体をガス分離モジュールに導入し、水素を分離・回収する。今回の実証試験ではモジュールに市販のポリイミド中空糸膜を用い、水素を透過ガス(水素濃度は約94%)にそして酸素を残留ガス(酸素濃度は60%以上)にそれぞれ濃縮した。

NEDOは、「人工光合成プロジェクト(二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発)」で、太陽光エネルギーを利用して光触媒と水から得られるソーラー水素と二酸化炭素を原料としたプラスチック原料などになる基幹化学品(エチレン、プロピレンなど)製造プロセスの基盤技術開発に取り組んでいる。2012年度から2013年度までは経済産業省、2014年度からはNEDOのプロジェクトとして実施している。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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