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キャップストーン?

NASA(アメリカ航空宇宙局)の超小型人工衛星「キャップストーン」を搭載した小型液体燃料ロケット「エレクトロン」が、2022年6月28日午前5時55分(東部夏時間)にニュージーランド北島東部のマヒア半島にある発射場Rocket Lab Launch Complex 1から打ち上げられた。キャップストーンは重さ55ポンド(約25キロ)の電子レンジサイズの小型人工衛星。小型衛星プラットフォーム「ルナー・フォトン」に接続された状態で地球低軌道(LEO)を周回し、6日間にわたって定期的にエンジンを点火して加速した後、宇宙空間へ放出される。キャップストーンは、Stellar Exploration社製の推進システムと太陽の重力を利用して、約4カ月かけて月周回軌道に到達。月長楕円極軌道(NRHO)の力学の実証やナビゲーション技術の検証などのミッションを遂行する。NASAは7月5日、キャップストーンとの通信が途絶したと発表したが、7月6日に回復し軌道修正を始めた。

小型液体燃料ロケット「エレクトロン」を開発したのは、米ロサンゼルスにあるRocket Lab(NASDAQ:RKLB)。独力でロケット工学を修めたピーター・ベック氏が2006年に設立した。Rocket Labは2022年4月2日、米ブラックスカイ・テクノロジー (NYSE:BKSY) の2基の地球観測衛星をエレクトロンで打ち上げた。ブラックスカイはRocket Labに対し、ロシアによるウクライナ侵攻直後のロケット打ち上げ予定の数日前に衛星軌道の変更を依頼。Rocket Labは、ミッションの変更を45日間でやってのけた。軽量ロケットは、極めて短いターンアラウンドタイムで小型衛星を特定の軌道に送り込むことができる。同社は、人工衛星の部品製造事業も行っている。2022年5月2日には、役目を終えてパラシュートで降下するロケット・ブースターを、ヘリコプターを使って空中でキャッチ。想定以上の重量がかかったため、ヘリコプターからブースターを切り離し、海上に落下させて船で回収した。このミッションの成功で、完全に再利用が可能な小型衛星の打ち上げシステムの実現に近づいた。Rocket Labは2022年8月4日に、米国家偵察局(NRO)が運用する情報収集衛星も打ち上げている。

NASAが主導する月探査計画「アルテミス」では、有人宇宙ステーション「ゲートウェイ」の建設が構想されている。ゲートウェイは、6日半の周期で月の周りを南北に回る月長楕円極軌道(NRHO)に設置される。この軌道は月の北極で1000マイル(約1600キロ)以内に最接近し、南極で4万3500マイル(約7万キロ)と最も離れる。地球と月の重力の平衡点に位置するため、長期ミッションを安定的に運用でき、その維持に要するエネルギーを最小化できると考えられている。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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