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ペロシ下院議長をレーダーで追跡?

ナンシー・ペロシ米下院議長は2022年8月2日夜に台湾の台北松山空港に到着し、3日午前に台北市の総統府で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した。ペロシ議長の台湾訪問は世界の航空機を追跡する「フライトレーダー24」でも注目を集めた。議長が搭乗したとみられる航空機はクアラルンプールを2日午後に離陸し、南シナ海上空を避けるように飛行した。2日夜にはフライトレーダー24の閲覧者は30万人を突破し、到着時には70万人以上が同機の航路を追っていた。サイトを利用しているジャーナリストの池上彰さんは、「ロシア軍が侵攻した後のウクライナ上空は空白で、ロシアでは自国と中国の民間機しか飛んでいない。ポーランドの上空では、ウクライナとの国境ギリギリの場所をNATO軍機が飛んでいる」と話している。

フライトレーダー24は、世界中の何千もの航空機に関するリアルタイムの情報を提供するグローバルなフライト追跡サービスで、パソコンやiOSまたはAndroidを搭載するデバイスで利用できる。フライトレーダー24は、2006年に2人のスウェーデンの航空マニアが北・中央ヨーロッパにADS-B(航空機が絶えず現在の位置や高度などを送信するシステム)受信機のネットワークを構築することから始まった。2009年にはネットワークが開放され、ADS-B受信機を持っている人なら誰でもデータをアップロードできるようになった。日本の政府専用機の飛行経路や位置情報が閲覧できる状態だったため、防衛省は2014年8月に保安上の理由から情報を公開しないよう要請した。毎年クリスマスになると、フライトレーダー24では世界中の子供たちにプレゼントを届けるために「サンタクロースのそり」が世界中を飛び回る。コールサインはSANTAやR3DNO53(RED NOSE)などが使われる。

追記―ペロシ下院議長は2020年2月4日のワシントン・連邦議会で、ドナルド・トランプ大統領の一般教書演説終了後に原稿を引き裂いた。トランプ大統領は議場入りの際、慣習に反してペロシ議長と握手をしなかった。2019年12月18日、下院本会議でトランプ大統領のウクライナ疑惑[1]を巡る弾劾訴追決議案を賛成多数で可決。ペロシ議長は採決前に行われた審議で「今日われわれは国民のため、民主主義を守るためにここに集まっている。今行動を起こさなければ、われわれは責務を放棄したことになる。大統領の無謀な行動により弾劾が必要になったことは悲劇的だ」と述べていた。

1.ウクライナ疑惑とは―トランプ大統領が2019年7月25日に行われたウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話会談で大統領権限を乱用して圧力をかけ、民主党のジョー・バイデン氏とその息子ハンター・バイデン氏について捜査し、選挙で不利になる情報を探り当てるよう働きかけたとみられていた。トランプ政権は連邦議会が承認したウクライナへの軍事援助2億5000万ドルの支払いを、9月半ばまで先延ばしにしていた。トランプ大統領とその支持者は、ウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングスの取締役だったハンター・バイデン氏について、ウクライナ当局による事件捜査をやめさせるようジョー・バイデン氏が不当な圧力をかけたと主張していた。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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