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世界最大の貨物機

2022年2月下旬にロシアの侵攻を受け、ウクライナの首都キーウ近郊のホストメリにあるアントノフ国際空港で、世界最大の貨物機・アントノフ225「ムリーヤ(ウクライナ語で夢や希望を意味する)」が大破した。ロシア国営放送は3月4日、大破したムリーヤとみられる機体の映像を流し、ウクライナ側が破壊したと主張していた。格納庫でメンテナンス中だった機体は機首と胴体が分断され、右翼もちぎれそうな状態。操縦席は跡形もなく、エンジンの一つは焼け落ちていた。製造元のアントノフ社は3月25日、機体を復活させるための国際基金をスタート。世界各国の政府や企業、航空ファンらに資金援助を呼びかけた。ゼレンスキー大統領は5月、機体の一部を再利用して後継機を建造する計画を表明した。

ソ連時代にウクライナに拠点を置くアントノフ設計局が開発した機体は、ソ連版のスペースシャトル「ブラン」を胴体の上に積んで空輸することを目的にしていたため、垂直尾翼が両端に付いたH型の特殊な形状をしている。全長84メートル、幅88メートル、最大離陸重量640トンで、エンジン6基を備え、着陸時の重量を支えるために、タイヤの数は前後合わせて32本にもなる。ムリーヤは、世界で1機しか運航されていなかった(運用はアントノフ航空)。ムリーヤの初飛行は1988年。2011年3月に東日本大震災を受け、フランス政府のチャーターにより、原発事故対策の装置や人道支援物資など計150トンを成田空港に輸送。2020年には5月23日と29日の2回にわたって、中国・天津からカナダへの医療品輸送の途中に、給油とメンテナンスの目的でセントレア(中部国際空港)に飛来した。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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