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SSTの序曲?

アメリカン航空は2022年8月16日、Boom Supersonicが開発中の超音速旅客機Overture(オーバーチュア)20機の購入を発表。2021年6月に15機を購入する契約を結んだユナイテッド航空に続くもので、追加で40機の購入も予定している。Boom Supersonicは、超音速旅客機を開発する米国の企業で、2017年に日本航空(JAL)と資本業務提携を締結。JALは1000万ドルを出資し、2020年代半ば以降に20機の購入を計画している。ヴァージン・アトランティック航空も10機を予約注文し、ヴァージン・ギャラクティックが機体の開発に関わる。Boom Supersonicには、ローレン・パウエル・ジョブズさん(故スティーブ・ジョブズさんの元配偶者)が率いるエマーソン・コレクティブも出資している。Overtureは、65~80人乗りの超音速旅客機で全長約61メートル、幅約32メートル。海上での巡航速度は、現在最速の民間航空機の約2倍のマッハ1.7。陸上を飛行する場合は、衝撃波や騒音を低減するため超音速飛行は行なわないが、従来の航空機より20%高速になる。4発のエンジンを搭載し、巡航速度にはアフターバーナー無しで到達可能なため低燃費だとしている。2021年の発表では、サンフランシスコ~成田間を6時間で飛行できるとしていたが、現在発表されている航続距離は4250海里(7871キロ)のため日本まで到達できない可能性がある。Overtureは、2025年にロールアウト、2026年に初飛行、2029年に旅客運用の開始を予定している。

超音速旅客機の製造には、Velo3DやStratasysの3Dプリンタが活用されている。

イギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機(SST:supersonic transport)コンコルドは、ターボジェットエンジン4基を備え三角形の主翼を持つ。当初はそれぞれ別々に開発を進めていたが、開発費が莫大になることなどから、1962年に共同開発に関する協定を結んだ。コンコルド(フランス語で融和を意味する)のプロトタイプは、1969年3月2日に初飛行し、1970年11月にマッハ2.0を記録した。量産機は、全幅25.6メートル、全長62.1メートル、総重量185.1トン、最大巡航速度マッハ2.02、航続距離6580キロ、最大乗客数128人。1976年1月21日、ブリティッシュ・エアウェイズがロンドン-バーレーン線、エールフランスはパリ-リオ・デ・ジャネイロ線で運航を開始した。他の航空会社からは注文を得られず、1979年の16号機で生産は打ち切りとなった。2000年7月25日に、パリ郊外で墜落する事故が起き運航は停止されたが、2001年11月7日から再開。老朽化による燃料漏れなどの不具合が多くなり、維持するにはコストがかかることなどから、2003年10月に全機が引退となった。使用されなくなった機体は、欧米各地の博物館で展示されている。旧ソビエト連邦も類似のSST・ツポレフTu-144を開発したが、1977年に就航したものの翌年に運航を中止した。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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