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新型コロナに対するユニバーサルな中和抗体?

2022年10月、兵庫県と神戸大学の研究グループは、新型コロナウイルスの様々な変異株に対して有効なユニバーサル中和抗体を獲得したと発表した。初期に流行した欧州株に感染歴があり、ワクチンを2回接種した人の血液から、抗体の情報を持つ免疫細胞を分離して抗体遺伝子を取得し、10種のモノクローナル抗体[1]を作製。中和抗体価(ウイルスによる細胞障害を阻止する強さ)を調べた結果、3つの抗体が中和活性を有することがわかった。そのうちの1つは、新型コロナウイルスの全ての変異株に対して高い中和活性を示した。スパイクタンパク質に結合する様式をクライオ電子顕微鏡[2]によって解析し、抗体は変異が起こっていない部位を中心に結合していることがわかった。神戸大学大学院医学研究科の森康子教授は、新型コロナウイルスの様々な変異株に有効なユニバーサル中和抗体として、抗体医薬への応用が期待できるとしている。

脚注1.単一(モノ)の抗原(病原体や花粉など)を認識する性質をもつ抗体を人工的にクローニング(同じ遺伝子型の細胞集団を作製)したもの。

脚注2.生体高分子などを急速に凍結させ、構造を解析する透過型電子顕微鏡。さまざまな方向から得られた画像を組み合わせて平均化し、高分解能の三次元画像を得ることができる。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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