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7分で読める【新生R1グランプリ2021】のおはなし〜ちゃうねんっ〜

2021年3月7日に【R1グランプリ2021】が開催されました。
今回はルールやら審査員やらMCやら全てがリニューアルされました。ピン芸人の最高峰の大会【新生R1グランプリ】の総評を生意気ながらおはなしさせていただきます。

キーワードは『痩せの大食い』

お時間ゆるすかぎり、どうぞ。

《1stステージ》
①マツモトクラブ(SMA)芸歴10年 
陣89/友93/ホ93/古94/野88/川89/ザ88
視3 【合計 637点】
これぞマツクラワールドといえる設定とパターン。髪型や衣装の選択も緻密に設定されているのが素晴らしい。演出・ストーリー性の高いネタ故にやはり4分では短すぎるのかもしれない。トップバッターも影響してか単純に笑いの量が少なかったように思う。
【自己採点 85点】 1stステージ順位 9位

②ZAZY(吉本興業)芸歴10年
93/友95/ホ95/古99/野95/川93/ザ94
5【合計 669点
“ピン芸=フリップネタ”は王道ではあるが、4フリップ使用、下段のフリップは座ってめくっていく所は斬新。かなり独特な世界観ではあるのだが、“春”フリップで挨拶がわりとしZAZYワールドを見せた後、“夏”“秋”フリップでズズズと観客を一気に引きずりこんだ印象。拍手笑いもあり◎
またフリップの擬音をリズムに変えて歌い出した瞬間は、これまでのネタの流れを上手く利用した上に、ネタ始まりに衣装を見てもらうくだりが伏線・フリとなりかなり効いている。奇抜な衣装と選曲が◎ 笑いの膨らみに繋がっている。
【自己採点 92点】 1stステージ順位 1位

③土屋(人力舎)芸歴7年
陣88/友96/ホ94/古95/野93/川90/ザ90
視1【合計 647点】
最初、自転車競技の設定で出てきた時はおもしろい事起こりそうとめちゃくちゃ期待できたのだが、田原俊彦さんのしゃべり方で通すボケがどうしても一辺倒になってしまっていた。笑いの波が起こりにくかった印象。また“田原俊彦さん”はそもそもちょっと伝わりにくいチョイスだったかもしれない。
【自己採点 84点】 1stステージ順位 7位

④森本サイダー(松竹芸能)芸歴8年
91/友91/ホ96/古96/野92/川90/ザ93
視1【合計 650点】
芝居→フリップネタに移行する設定・構成は斬新で◎ 【森本サイダー】さんのキャラクター含め、終始ダークな空気感の中、笑いの手数は多く、的確にポイントを重ねていた印象。
ただ、フリップネタに変わってからは展開が少なかったのが、爆発まではいかなかった要因か。
【自己採点 87点】 1stステージ順位 5位

⑤吉住(人力舎)芸歴6年
90/友95/ホ94/古94/野91/川89/ザ88
5 【合計 646点】
物語の展開はオーソドックスではあるがお芝居の巧さにより、初期段階から情景が浮かび、化け物“パプウ”のイメージもなんとなく出来てしまいそうな感覚があった。早い段階でネタに引き込んでしまう技術は【吉住】さんのストロングポイントだろう。ただ、今回のネタはつかみ(初笑)までが遅く、つかみまで時間をためたにも関わらず、ためた分の笑いは回収出来ていない印象。全体を通してボケ数自体が少ない為、物語としては楽しいのだが、大きい笑いには発展せずといった印象か。
【自己採点 85点】 1stステージ順位 8位

⑥寺田寛明(マセキ芸能社)芸歴7年
陣87/友89/ホ93/古93/野89/川88/ザ89
5【合計 633点】
フリップ芸としては英語でのお題→あるあるネタを用いた大喜利形式で進めていくスタイル。シンプルでわかりやすく共感も得られやすい内容・作りになっている。今回の出場者の中では最もオーソドックスすぎたフリップ芸だった事と他ファイナリストのフリップ芸が異端型であった為、完成度は高く確実に笑いは積み重ねてはいたが、なんとなく物足りなさを感じてしまう要因になったのかもしれない。
【自己採点 84点】 1stステージ順位 10位

⑦かが屋 賀屋(マセキ芸能社)芸歴6年
90/友93/ホ96/古95/野94/川92/ザ90
5【合計 655点
コンビネタでも演技力や設定のアイデアには定評があったが、ピンとなってもそのスキルは十分に発揮されたネタであった。言葉を発さず、動きや呼吸でネタを運んでいく事はかなり難しく、リスクとして高いと思うが、呼吸の強弱・浅深のレパートリー・表情の変化を作り終始笑いを誘う空気を作り上げていた。
【かが屋】さんはコント設定として“ありそうで、ない”“ないようで、ある”のギリギリのライン(現実的⇆幻想的)を攻めるのが本当に上手だなと感じた。
【自己採点 87点】 1stステージ順位 3位

⑧kento fukaya(吉本興業)芸歴10年
92/友90/ホ94/古93/野92/川92/ザ92
5【合計 650点】
フリップ芸の新しい形。最初は3枚でストーリーを展開していくだけと思いきや、後半はストーリーに沿って大喜利形式でボケていく、発想自体が斬新であり、フリップのデカさも良く、なによりも絵の作りがうまい。“うまい”というのは上手というわけではなく、笑いを誘いながら、かつ印象度が高くなる絵であったと感じた。(簡単にいうと下手ウマのレベルが高い)下手すぎると観る側は不快感が印象として残るが、それがなく反対にもう一回観たくなるような感じ。
ただ、笑いは大きくはあったが、後半にかけての畳み掛けが難しく笑いがぶつ切りになったイメージ、連鎖した笑いになりにくかった印象。
【自己採点 88点】 1stステージ順位 5位

⑨高田ぽる子(マセキ芸能社)芸歴2年
93/友89/ホ95/古92/野92/川93/ザ93
5【合計 652点】
ネタの発想・ボケのアイデア・キャラクター・声のトーン・喋り方、いうならばコロコロコミックとかボンボンコミックのような小学生のマンガを読んでいるかのような感覚。最も審査しづらいネタだったのではないかと思うし、良い意味で“笑い”とは何かがわからなくなる瞬間が多々あった。自己採点87点としたが、正直芸歴2年でこの発想のネタ、もう100点満点でもいいのだと思う。個人的に他のネタも見てみたいと思った。
【自己採点 87点】 1stステージ順位 4位

⑩ゆりやんレトリィバァ(吉本興業)芸歴8年
95/友94/ホ95/古97/野95/川93/ザ92
5【合計 666点
ネタの設定、キャラクター、ボケの切り取り方、ネタの運び、後半にかけての膨らみ、オチ全体を含め、いやぁさすがR1ファイナリストの常連でありTHEW初代王者だなと圧巻。
【ゆりやんレトリィバァ】さんはどのネタでもフリから初ボケへの振り切り方が強いので、つかみとしては笑いの量がでかく連鎖しやすいと思う。知名度の低い方の場合は振り切りが強すぎると観る側が引いてしまうリスクがある、ただ【ゆりやん】さんは圧倒的に知名度が高い為、観る側は“出た、ゆりやんワールド”といった感じで引いてしまうリスクは極端に少ない。
【自己採点 92点 1stステージ順位 2位

《Finalステージ》
①かが屋 賀屋【合計 650点】
②ゆりやんレトリィバァ【合計 663点
③ZAZY【合計 656点】

《まとめ》
今回はルール改正して1回目、R1グランプリ第2章開幕といった所でしょうか。新鮮さもあり、演者さんの質もかなり高く、第2章開幕としては大成功だったのではないでしょうか。
審査に関しては点数による審査方法もわかりやすく、以前の投票方式よりも良かったと思う。審査員さんも一新され、【ホリ】さんや【ハリウッドザコシショウ】さんの選出は素晴らしいと思う。気になった点としては、ネタ終わりの審査員さんのコメント・評価をもっと聞かせて欲しかったと感じた。特にR1は芸のジャンルがさまざまな為、審査員さんからも各ジャンルの視点や感想が聞ければもっと良かったかなと感じる。また、チャンピオン決定後に1stラウンドネタのダイジェストをみせる演出はいらないかなと。その分、ネタ後のMCさんと演者さんとの絡みや審査員さんのコメントがあれば嬉しい。
最後にチャンピオン【ゆりやんレトリィバァ】さんについて、今回ダイエットをして笑いが半減しないかと心配される意見もありましたが、1stラウンドネタは痩せたからこそ、キャリアウーマンのようなフリが効いていたとも思うし、Finalステージではダイエット成功した自身をネタに組み込んでいる所が、やっぱり戦略・ネタ選びにおいても一歩上手(うわて)だったかなと感じ、感動した。

痩せてもなお、いやさらに“笑いの大食い”となった
【ゆりやんレトリィバァ】さん

優勝おめでとうございました。
そして、【ZAZY】さん【kento fukaya】さん【マツモトクラブ】さんラストイヤーお疲れ様でした。

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