目の前のあなたの方が

戦闘機が買えるぐらいの、
はした金ならいらない!

この歌詞、小学校の頃から知っていて、当時からマジで衝撃的な歌詞だと思ってた。

言わずと知れたブルーハーツの超名曲の一節ですが、今どきの子は結構知らないのよね(「今どきの子は〜」っての、今どきの子が言われたくない言葉No.1よな)。

どこかの爆弾より
目の前のあなたの方が
ふるえるほど 大事件さ
僕にとっては

戦争に使う兵器を買うための莫大な軍事資金を「はした金」と呼んでみたり、戦争に使う爆弾より人間関係を重んじてみたり、そういうところから戦争をくだらない、意味がないと痛烈に批判した反戦歌なのは分かっとりますが、

しかし「目の前のあなたの方が、ふるえるほど大事件」という表現は、反戦メッセージを伝えたいがためになにかを疎かにしていない感じというか、「戦争と比べりゃあなたの方がまだ大事だよ」といったニュアンスではないところもまた好きだったりします。
爆弾の威力はすごいかもしれないが、「目の前のあなた」の方がもっとすごいんです。どんな爆弾もこれにはかなわない、と続ける詩からは強烈な愛が伝わってきて、
歌詞には一部皮肉を含んでいたとしても、そこからひねくれや陳腐さを感じさせない、ストレートに気持ちをぶん投げられているかのような歌詞がとてもすきです。


あとはブルーハーツだと、「別にグレてるわけじゃないんだ、でも大人たちにほめられるようなバカにはなりたくない(少年の詩)」とか、「期待はずれの言葉を言う時に、心の中ではガンバレって言っている(人にやさしく)」のとことかも好き。

人にやさしくの「ガンバレ」がカタカナなのは、ガンバレの持つ意味が「頑張れ」ではないからなのかなとか思ったりしている。
以前から思ってますが、「がんばれ」という言葉は言う側にとっては「応援してるで!!!!」的な、激励の意味があるものなんだけど、単語の意味的には「もっと精力的にやれ、必死にやれ」的な意味でも受け取れちまうんですよね。
だからこそ「頑張らなくてもいいよ」という励ましも存在したりするんですが。

だから…そういう意味じゃない「ガンバレ」なんだと、だからカタカナなんだと勝手に思っている。

「期待はずれの言葉を言う時に」とか、
「優しさだけじゃ人は愛せないから、なぐさめてあげられない」とか、
この曲は、誰かを慰める、慰労する言葉の難しさを散々連ねたあとで、それでも「ガンバレ!!!!!!」と叫ぶ曲だから。
なんかそれって、そういう状況ってめちゃくちゃよくあるくないですか?
優しさだけではうまくなぐさめてあげられない、もどかしくてたまらない伝わらない言葉の裏で、心の中ではとにかく「ガンバレ」って言っているのです。聞こえてほしいんです、この必死で叫ぶような心の声がそのままあなたに。

と、いう…
最初に挙げた『no no no』と『人にやさしく』、二曲ともめちゃくちゃ「あなた」を重んじている。

僕にとっては。

あなたの存在は、どこかの爆弾よりふるえるほど大事件で、
期待はずれの言葉を言うときに、心の中ではガンバレって言っている。

この鮮烈なのにことばにならない気持ちを、見事なまでに表したブルーハーツの詩が好きだし、

いつか大好きな人には、伝わればいいなとか思うわけです。

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