自粛期間中の自分に刺さった言葉その1


田代荘介(映画「終わったひと」2018年、主人公)

「俺はまだサラリーマンとして成仏していないんだ。」

エリート出世街道を歩むはずが、出向先で定年を迎えた主人公が、ベンチャー企業の社長就任のチャンスに発した言葉。妻の制止に聞く耳を持たず、チャレンジするも結果的にその事業に失敗する。田舎の高校のラグビー部主将といい、まさかの就職探しの境遇といい、彼の言葉、映画自体も全く他人事でなく胸が痛かった。


國分功一郎(哲学者、東京大学准教授、NHKBS1スペシャル「コロナ時代への提言〜変容する人間・社会・倫理〜」(2020年5月23日放送))

生存以外のいかなる価値も認めない社会というのはどうなってしまうのか。感染してしまうからという理由で死者の葬儀を行わない。そういう社会に少しも疑問を持たない我々はどうなってしまうのか?

社会の当たり前に疑問を投げかけるのが哲学者の役割という彼の問いはコロナ禍の現代にとって非常に示唆的。


上の番組で、京都大学の山極寿一氏の言葉も印象的だった。

人間が「言葉以外」で使ってきたコミュニケーションの手段が新型コロナウィルスの出現によって失われようとしているかもしれない。進化の過程、信頼を「言葉だけ」に依存してこなかった。身体と身体が共鳴し合う中で信頼を形作ってきた。ラグビーのワンチームというのはあれだけ毎日毎日身体をぶつからせて訓練をして勝ち取ったものです。我々は身体を共鳴させなければ信頼というのは作れない。

ラグビーを引き合いにしてくれたこともあるが、言葉があればわかりあえるのか、信頼を得られるのか、という問いかけも非常に示唆的。ラグビーの指導にデータや映像を扱う自分自身にとって大きなメッセージだと思った。数値や映像、言葉のやりとりの周辺の見失いがちな情報、例えば選手の顔色の変化、コーチの口調、文字認識では認識しきれない「うなづき」や「疑問の声」、選手の息づかい、握手(今は出来ないが)したときの力強さ、など気にしないといけないことはたくさんあるのだろうなと改めて思った。


ジャック・アタリ(フランス)NHK緊急対談パンデミックが変える世界から〜海外の知性が語る展望〜(2020年4月1日収録)

パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返らねばならない。協力は競争よりも価値があり人類は一つとであることを理解すべきだ。利他主義という理想への転換こそが人類のサバイバルの鍵である。


6月6日 パンデミック下のイタリア

Andra tutto bene(きっと、うまくいく)

厳しい行動制限のもとで人々はこの言葉を合い言葉に苦しい日々を耐えていたそうである。希望を持つこと、それを共有すること、が力になる。


出口治明(APU学長)
(NHKBS1「最後の講義」2020年7月24日放送)

Go Where Nobody has gone, Do What nobody has done.
誰も行ったことのない場所へ行って、そして誰もやらなかったことをやりなさい
人との出会いに大事なことはまずYes。
好き嫌いは捨ててまずイエスという気持ちでいろんな人に会うこと
現状分析、世界をフラットに視るには
①歴史の「縦」、②世界の「横」そして、③ロジックとしての「算数」が大切

60歳でベンチャー、70歳で大学の学長と常に新たなチャレンジに取り組む出口氏の言葉の数々はすでに若者ではない私にも響いたものが多かった。


上田慎一郎(映画監督、「カメラを止めるな!」Switchインタビュー(NHKEテレ2020年8月1日放送)

戦略を考えてやるより自分の好きを信じてやるほうがいい

前田裕二氏との対談で。上手くやろうと考えすぎるより、自分が好きなものを信じてやること、非常に共感できる。もちろん上田監督のように結果として成功することが大前提。





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