辣油辞典:スリッパ

 スリッパって単純に響きが悪い気がしてくる。そんなことはどうでもいいが、人類の叡智wikipedia先生によると、スリッパはそもそも日本においては外国人を家に入れる際に、土足で入られると困るから外靴の上に履くものとして開発されたらしい。英単語として記述すると"slipper"。確かに足を滑らせて履くことができる。
 日本においてスリッパを履く目的ってなんだろうか、と考えてみる。共用の便所や風呂などに使うのは理解できるが、一般家屋においてベランダならまだしも室内でスリッパを履く意味とは。と書きはしたが別にそこまで不思議でもない。冬の保温や室内のホコリが体につかないようにする、など使う目的はいくらでも出てくるものなのだが、日本で自宅用のスリッパというものが残ったのは少々意外なようにも思える。素足文化なのだから。ところで、こんなご時世であるから、スリッパの需要が伸びているのでは、と邪推したが流石にニッチだったのだろう、そんな資料は出てこなかった。
 今更になってスリッパについて長々と書くなど正直無茶だったのではないかなどと思い始めている。仕方ないからスリッパをどうにか詩的な概念に引きずり出してみよう。スリッパは家でしか履けない履物である。家でしか使えない衣類にはパジャマなどいろいろあるが、邪魔なものから身を守るため、という目的で着用するのはスリッパくらいであろう。本来は自分の場所である自宅の中で、自分の身を守るために使う...何かの象徴になり得たりはしないだろうか。私にはそこまで考えるやる気は少なくとも今はない。


auther:高梨辣油

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