紫苑Sの穴馬

 お久しぶりです。リフレッシュ休養を終え、今週からまた「競馬天国」の配信を再開します。よろしくお願いします。

 秋競馬の開幕週は、土曜に紫苑S、日曜に京成杯AHとセントウルSの3重賞が組まれています。どのタイミングで配信するべきか考えましたが、開幕週の馬場くらいは見てから書きたいので、日曜のレースを扱った配信を、土曜の夕方以降に予定しています。
 
 9月7日(土曜)の紫苑Sが間に合わないため、無料記事でざっと検討を。

 今年の紫苑Sの注目は、ボンドガール(父ダイワメジャー)。想定1番人気と知って「マジか!?」が最初の感想だ。
 なぜかというと、ダイワメジャー産駒でいまだかつて芝2000の重賞を勝った馬は1頭もいないからです。

・ダイワメジャー産駒の芝2000重賞【0-5-7-61】
・ダイワメジャー産駒の中山芝2000重賞【0-0-1-18】

 多数のマイラーを出してきた一方、距離に限界があり、2000m以上の重賞勝利なし。特に牝馬は2着も1回しかない。
・ダイワメジャー牝馬の芝2000以上重賞【0-1-5-32】

 内容を見れば、17年の紫苑Sで3着にきたポールヴァンドルもいるから、芝2000で走れないわけじゃないが、本当にボンドガールが単勝1番人気でいいの? という疑いは湧く。

 ただし、似たような話は最近もあった。
 ソダシが芝2000の札幌記念に出走したとき「クロフネ産駒は芝2000の重賞を勝ったことがない」というデータが出回った。しかし、ソダシはあっさりと札幌記念を快勝。次走の秋華賞は大敗してしまったが、次はすぐ同じクロフネ産駒のマリアエレーナが愛知杯やマーメイドSの2着を経て、芝2000の小倉記念を快勝した。
 クロフネ産駒に芝2000は長いというデータは何だったのか、なぜ晩年になって突然、距離をこなす馬が立て続けに出たのか。

 この現象、他の種牡馬でもときどき見られる。
 例えばヘニーヒューズ。数々のダート短距離馬を輩出してきたが、最近のヘニーヒューズ産駒はやけに中距離馬が多いと思わないだろうか。
 サウスヴィグラスもそうだった。種牡馬晩年になって、中距離をこなす産駒を立て続けに送り出した。

 そう、これは血の不思議のひとつなのだ。理屈を後付けするならば、スピードが武器の種牡馬は晩年になるとスピードを伝える力が落ち、母系をより引き出すようになるのかも知れない。つまり、種牡馬能力が落ちる(伝える特性が変わる)ことによる現象なのではないか。

 なんだ、こりゃ。いつのまにか血統エッセイになっちゃったぞ。そんなつもりはなかった。問題は紫苑Sのボンドガールだ。

 ダイワメジャーの初年度産駒は現15歳だから、ボンドガールは13世代目にあたる。今さら芝2000の重賞勝ち馬が出るだろうか。
 前走、芝1800のクイーンSで武豊が脚質転換をさせて、スムーズな差しを見せたから、あと200m延びるくらいは何の問題もないだろうという見方もある。しかし、どうしてもそう思えない。

 紫苑Sが重賞に昇格して以降の種牡馬成績(過去8年)はこちら。

 今年はハービンジャー産駒も、キズナ産駒も、ディープインパクト産駒もいないから、たいして参考にならない。
(画像は競馬ソフト「TARGET」の画面をキャプチャしています。データ集計にはJRA-VANの有料データを使用しています)

 今年の紫苑Sの鍵を握るのは、3月の中山で行われたフラワーカップだ。

 このフラワーCは、あらためて映像を確認したほうがいいと思う。
 前半60秒0の上がり36秒0で、中団から後方にいた馬たちが上位を占めたレース。器用に内を抜けたミアネーロ、大外を回したホーエリート、前が詰まってふらふら進路を探したカンティアーモ、早仕掛け気味だったフォーザボーイズなど、それぞれの個性が出ていた。馬名に緑色がついているのは、紫苑Sに出走する馬だ。

 このときロスの大きな競馬をして、今回は戸崎に乗り替わるホーエリートに、ひかれる。
 ルーラーシップ産駒は19年の紫苑Sでパッシングスルーとフェアリーポルカがワンツーを決めるなど、過去3連対。外を回っても届く馬場かどうかは土曜日に確認しよう。

ここから先は

0字

週1回更新、月額550円、田端到(王様)の競馬マガジンです。土日の展望を中心に、前週の回顧や馬券術も入ります。ただし、予想の買い目はありま…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?