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ノンバーバルを意識する

BGM用YouTubeチャンネルを作る際に、類似ジャンルのチャンネルをリサーチした際に、日本語のタイトルと説明文を掲載している動画が意外と多いのが気になりました。

せっかく映像+音楽という、言語を越えて人々に直接訴えかける力を持っているコンテンツを、YouTubeという世界的なプラットフォームで発信するのに、日本語を使うのは勿体ないと思ってしまいます。

日本人だけをターゲットにするのであれば、日本語で発信したほうが伝わりやすいのは間違いありません。

しかし、グローバルに訴求できるコンテンツであれば、日本語を使わないという選択肢を取ったほうが良いのではないか?と考えています。

もっと言うと、言葉すら必要のないノンバーバル(非言語)コミュニケーションを意識してコンテンツを作ったほうが良いのでは?というのが私の持論です。

ノンバーバル・コミュニケーションとは?

ノンバーバル・コミュニケーションとは、言葉を介さずに行われるコミュニケーション方法を指します。

具体的には、以下のような要素が含まれます。

  • 表情

  • ジェスチャー

  • 姿勢

  • 声のトーン

  • アイコンタクト

  • 空間の使い方

  • 身だしなみ

心理学者であるアルバート・メラビアンの研究によると、対面コミュニケーションにおいて、メッセージの55%は視覚的要素、38%は聴覚的要素、そして言葉自体は僅か7%しか影響を与えないとされています。

インターネットとスマートフォンの普及によって、動画コンテンツの人気は急速に高まりました。

YouTube、Instagram、TikTokなどのプラットフォームは、世界中の視聴者と繋がることができる有効なツールです。

言葉だけでは伝えきれないメッセージを、動画コンテンツは視覚や聴覚を通じて補完することができます。

では、具体的にどのような要素が重要になるのでしょうか?

訴求するビジュアルコンテンツ

YouTube動画におけるノンバーバル・コミュニケーションの鍵を握るのは、ビジュアルとBGMです。

特にビジュアルは、メッセージの半分以上を占める重要な要素です。

Lo-fi Hip Hopというジャンルも、人気チャンネルのひとつ「Lofi Girl」が使用している、日本のアニメを思わせるループ映像がビジュアルイメージとして定着しています。

そのため、多くのLo-fi Hip Hopチャンネルでは、暗黙の共通言語として日本アニメ風のループ動画が使用されています。

ちなみに、2017年頃は『耳をすませば』のワンシーンが(無断で)使用されていました。その名残か、今でもスタジオ・ジブリ作品を使用している類似チャンネルも見受けられます。

BGM用チャンネルの場合、仕事や勉強など他のことをしながら視聴されるケースが多いため、視聴者を引き付けるようなストーリーは必要ありません。

さりとて単なる静止画では、続きを視聴しようという意欲が沸かない可能性もあります。

TikTokなどのショート動画では、視聴者は冒頭の3秒で動画を視聴するか否かを判断していると言われています。YouTubeも最初の数秒でつまらなそうと判断されたら、すぐにスキップされてしまうでしょう。

冒頭3秒のビジュアルには、本編以上に力を注ぐべきです。

視聴を決定づけるサムネイル

コンテンツ以上に重要なビジュアル要素がサムネイルです。

私のBGM用アカウントでYouTubeにログインすると、このような画面が表示されます。

見事にヘッドフォンをしたアニメ風の女性がたくさん表示されています。

同類のチャンネルをリサーチしたことにより、YouTubeのアルゴリズムに、この手のジャンルが好きなアカウントだと判断された結果です。

知っている人が見れば、説明を読まなくてもサムネイルだけでLo-fi Hip Hopチャンネルだと分かります。ビジュアルにはそのぐらいの力があります。

サムネイルは、視聴者が動画を選ぶ際の第一印象を決定づける要素であり、その良し悪しによって、動画が再生されるか否かが決まると言っても過言ではありません。

視覚的インパクトを追求するだけでなく、動画内容を分かりやすく伝える、一貫性を持たせてブランドイメージを定着させる…など、こだわるべきポイントはたくさんあります。

グッド・ミュージックは国境を越える

そして、ノンバーバル・コミュニケーションにおいてが重要なのは言うまでもありません。

インストゥルメンタルのチルなビートは、言語や国籍などは関係なく誰でも理解でき、心地良ければ万人に受け入れられる可能性がある音楽です。

実際にどのような層に視聴されているかというと、インドネシア、フィリピン、フランス、台湾、香港などからのアクセスが多く、日本からの視聴はわずか0.5%です。

YouTube Studioで視聴者層を確認できる

Lo-fi Hip Hopというジャンルのルーツを辿っていくと、Nujabesという日本のビートメイカーと、2000年代に彼がサウンド制作を担当したアニメ「サムライチャンプルー」という作品に行き当たります。

時代劇とヒップホップがクロスオーバーした「サムライチャンプルー」は、日本国内よりも海外で大きな反響を得ました。

そして、幼少期に「サムライチャンプルー」などのアニメを通じてチルなHip Hopを聴いて育った若者たちが、現在のLo-fi Hip Hopを牽引しているとも言われています。

Nujabesは、1999年に自らの音楽レーベルを立ち上げた際、日本のレーベルであることを意図的に伏せて活動していたそうです。

ほとんどメディアに露出せず、取材でも素顔を見せることなく、シンプルに音楽だけで訴求するという方法を貫いた結果、Nujabesのトラックは世界中で評価されるようになりました。

せっかく世界に向けて開かれたインターネットです。日本人だけでなく全ての人に向けて、ノンバーバルな情報発信に挑戦してみてはどうでしょうか?

では。

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