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本を読むことが好きなので、1日の中で必ずどこかで時間を見つけては、ページをめくっている。本は、私には空気や水と同じように、生きるためにかけがえの無いもの。

一番好きな小説は、今のところ宮本輝の「錦繍」ということにしている。この本は書簡文学(というジャンルってあるのかな?)で、何度も折々に読み返している。私の最愛小説。

宮本輝の他の作品も好きで、書店で彼の新作を見つけるとつい手が伸びる。今も新作(文庫)の「草花たちの静かな誓い」を読んだばかり。


主人公は叔母の残した多額の遺産を相続する予定の弦矢。弦矢が、叔母の娘(失踪当時5歳)を探す物語。西海岸の高級住宅地の美しい庭、叔母の残した滋味深いスープなど、物語を彩る風物がとても素敵なのだ。

主人公の弦矢が祖母の死を回想するシーンでの一節。

花たちの声を聴き、花たちの心を知り、花は心であり、心は宇宙なのだという突拍子もない結論に至ることで、自分を宇宙を一体化させて、迫りくる死を受け入れたのかも知れない。(P184)

植物の中でも、花は「生命(いのち)」について、特別に「死」ということを、私たちに教えてくれる。生花にはそういう力があると、お花のお師匠さんも言っていた。
花を生命として見直すと、その色も形も、香りも全てが立体的になっていく。
花が生命に見えてくる時、目に入る世界全体が微細さを増し、それまで見えなかった色や形が見えてくる。
その先には、花のささやきも聞こえるような心境が待っている。

花の中にも仏性がある。

「草木国土悉皆成仏」という思想がある。
草木や国土にも(人と同じように)仏性があり成仏ができるという思想で、日本の仏教ではよく通った思想だが、インドの原始仏教にはこの思想は無いという。

本を読むことと同じくらい好きなことは花をいけること。
そうだ、今日は新しい花を生けよう。
かのウィルスの影響で物流が滞り気味で、生花の入荷量も少ないのだとか。少ない選択肢の中に素敵な出会いがありますように!

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冒頭の写真は白モクレン。別名に、白蓮、玉蘭。
花言葉には「慈悲」というのもある。(他にも「気高さ」とか「荘厳」など)
英名はmagnolia。
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