水滸酒楼に恋をして

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「水滸酒楼に恋をして」第二回 The Leopard Awakens 〜後編〜

翌日、リオさんに全部話した。このままだと、現場から追い出されてしまう、と。

他人様の会社から得た情報だ。リークするのは御法度だというのはわかっていたけど、それでも黙っていられなかった。

「ふうん、そうなんだ」

僕の話を聞き終わった後、リオさんはいつものように冷静な反応を返してきた。

自分の首が危ない、というのに、このブレの無さはなんなのだろう。態度があまりにも他人事過ぎる。

「焦らないん

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「水滸酒楼に恋をして」第二回 The Leopard Awakens 〜前編〜

どう見ても魯智深(ろちしん)だ。

魯智深以外の何者でもない。

建設中の鉄骨の隙間から差し込む、夕暮れ時のギラギラした陽光を浴びて、見事に剃り上げられた禿頭がキラリと輝く。

ありのままに伸ばされた髭をバリバリと掻きながら、どんぐりのような目で、その男は僕のことを見つめている。年齢はたぶん四〇代だけど、大きくてまん丸な目はやたら若々しく見える。

作業着の上からでもわかるほどの、はち切れんばかり

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「水滸酒楼に恋をして」第一回 Suiko of fury

(なんでこの会社に入ったんだろう……)

夜の板橋駅ホームをとぼとぼと歩きながら、僕はため息をついた。

まだ入社一年目で、仕事のことなんて何もわかっていない。決めつけるのは早いかもしれない。

でも、正直、もう辞めたかった。

何が売り手市場だ、と言いたくなるくらい、面接と不採用通知の洗礼を受け続けた末に、大して興味もなかった商社に入った。ビル建築用の資材をメーカーから購入して、建設会社とかに売

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