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男勝り教習所✴︎東場学園3✴︎

宝塚部とは宝塚歌劇団のパロディである。少し説明すると本家の宝塚歌劇団は演者が女性だけの歌と踊りのプロ集団。男性役も女性が演じ、その方々は男役と呼ばれている。衣装もメイクも豪華絢爛でフィナーレに男役トップスター・男役2番手・娘役トップスターが羽を付けて並ぶシーンは圧巻である。

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※イメージ図

ゆーて高校生がパクるんだからたかが知れている。天鳳一段は学生時代の思い出になんて軽い気持ちで入部した。鳳凰の扉を開くとそこに居た宝塚部員は七~十段。学校に破格の寄付をする親を持つモンスター高校生で、部費のレベルを遥かに超える数百万単位の活動費があてがわれていた。寄付金で運営する東場学園にとって宝塚部員はお客様、ゆえに鳳凰民が授業中に寝ようが衣装を縫おうが弁当を食べようが羽を作ろうが教師の誰も注意できなかった。それどころか教師の中にはゴマすったり口利きしてもらったりする者もいたと聞く。当然鳳凰民の多いクラスほど授業中の民度が低い。たまに特上卓におりてきては食い散らかす、恐ろしいハイエナ集団だ。

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そして本家同様細かく厳しい規則があり部員は格付けされ、男役1番手はトップスターとして絶大な人気を誇っていた。所作や発言は常に注目され、いつもとりまきが居て黄色い声援を送っていた。まさに天鳳位である。天鳳位の条件は高身長に細身でメイク映えする顔立ち、キャストやスタッフ数十人を自宅に招ける広い家が必須だった。それは大変名誉な事とされ、入部説明では全員天鳳位を目指して取り組むよう指導された。

その時フラッとたまたま現天鳳位が見に来ていた。ズラッと並ぶ入部希望者を1人ずつ見ていく中で、突然私の前で止まって言った。
「貴方、すらっとして背が高いのね。頑張って。」
今思えば天鳳位より背が高かった新入生が私だけだったからだろう。だが通常天鳳位が入部説明会で声をかけるなんてまず有り得ない。死語禁止が規則だからだ。天鳳位がどっかの団体所属1年目の女流プロを名指しして雀力を褒めたようなものだった。でもそうなると麻雀界では男女の仲が疑われるか…なんか虚しいな。

天鳳位の要らぬ一言で同期のギラついた視線を感じた。みんな自分が一番麻雀上手いと思っている。骨肉の争いはこうして幕をあけた。

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#性別とは何か
#ユーモア
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