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アニメ「バクテン」を見た

男子新体操がアニメになる。
それは私にとって、喜び半分、恐怖半分のニュースだった。

男子新体操はマイナースポーツだが、これまで世間の注目を集めるいくつかの大きな出来事があったと思う。その度に私は過剰に大きな期待をした。しかし男子新体操をめぐる状況が大きく変化することはなく、こっそり失望するということを繰り返した。

でも、このアニメ第一回の放送を見て思った。男子新体操界に今後何が起ころうと起こらなかろうと、「バクテン」というアニメをこの世に送り出してもらえたことに、感謝しよう。他力本願に何かを期待して失望するのは、このアニメに対して失礼だ、と。

「バクテン」の第一回の放送では、制作陣の、男子新体操というスポーツに対する敬意があふれていた。

まずは、あの会場の雰囲気。実際の会場よりも人口密度はやや高めではあったものの、選手が廊下でストレッチしたりしている、あの雰囲気!私は試合や発表会の会場で選手たちを見かけるたび、「どのチームの選手かな。見たい。でもジロジロ見るのは失礼だから、見てはいけない!」と心の中で葛藤しつつ、新体操の会場に来たなぁと嬉しくなる。

一番強烈に覚えているのは、井原フェスティバル前夜のレセプションパーティーでのこと。まだファンになったばかりの頃だった。入り口に、井原高校の制服を着た選手たちが一列に並び、お客さんを出迎えていた。それはもう、遠目からでも後光がさして輝いている集団だった。私は「見たいが見てはいけない」を発動し、彼らを直視することなく、会場に入った。視界の端っこに、小川恭平君が、例の水分量の多そうな瞳で笑っているのが映った。(小川兄弟の瞳は、なぜあんなにキラキラ輝いているのだろうか…)

だから、新体操会場の扉をくぐるたび、ファンはちょっとしたハイ状態になる。主人公の翔太郎も、あの独特の雰囲気を感じたんだなぁ、きっと。

蒼高の演技の場面では、スポットライトがさす、リアルとはかなり違う描写がされていたが、私は花園大学のロシア遠征や、国士舘大学のドイツ遠征を思い出していた。

日本の試合会場ではありえないことだが、海外のショーではプロジェクションマッピングや照明をふんだんに駆使し、選手の動きを引き立てる。ロシアではマットの周囲に本物の竹と葦のような植物が配置され、プロジェクションマッピングの技術者は選手の動きに合わせて映像を映し出していた。

国士舘団体がショー全体のトリを飾ったドイツ遠征では、団体演技ラストの「決まった!」シーンで、さっと斜め前方から照明がさす。そりゃあもう、鳥肌もののカッコよさである。いつも見ている新体操が、華やかなショーに変わる瞬間だ。

「バクテン」での試合の演技は、男子新体操が多くの人に見られ、拍手喝采を浴びる、その理想型を見せてくれたんじゃないかと思った。

そしてなんと言っても、選手の動きのリアルさ。モーションキャプチャーの技術を使っていて、実際に青森や国士舘の選手・OBが参加していたようだが、本当にリアルだった。選手たちの手足の動きはもちろん、タンブリングに入る前にちょっと頭を傾げる、よくある動きだけれど男子新体操の演技を本当に見ないと気づかないはずの動きまでが、リアルだった。男子新体操経験者の、こんなコメントも。


このツイート主と同じく、制作陣の愛にただただ満足。そして感謝。ありがとうございました。

そしてちょっと宣伝。
4月9日(金)夜9時〜 (今晩です!)
#リアルバクテン ともいえる、国士舘大学の現役選手たち&バクテンを監修している青森山田高校OBの映像クリエイターによる、インスタライブが予定されています!

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田中啓介選手、織田一明選手、吉留大雅選手は国士舘大学の個人選手。バクテンではあまり扱われないと聞いている、「男子新体操の個人競技」を専門にするトップ選手たちです。今回のアニメにも、モーションアクターや声優として参加。
舘山楓弥君
は、今回「監修」となっている青森山田高校で男子新体操をしていましたが、現在は映像クリエイター目指して勉強中。大のアニメファンです。

男子新体操ファンだけでなく、アニメファンの皆様もお気軽にご視聴いただけたらと思います🙏
「応援!男子新体操」のインスタアカウントはこちらから。

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