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城市拓人(じょういち・たくと)青森大学4年

今年の東インカレは中止になった。全日本インカレへの出場権をかけて熾烈な争いが展開される、とてもエキサイティングな試合の一つだ。

今年の大学4年生たちは、いわゆる「黄金世代」と呼ばれる、才能に溢れた選手たちがひしめく年代。青森大学だけを見ても、昨年度の全日本インカレで総合優勝および種目別4種目とも完全優勝の安藤梨友を筆頭に、同大会準優勝の城市拓人、10位以内に入った三つ子の佐藤綾人、颯人、嘉人や、実力者の満仲進哉など。

さらに国士舘大学(東京)には、石川裕平や水戸舜也、吉村龍二ら、人気と実力を兼ね備えたメンバーが顔を揃える。

西に目を向ければ、花園大学(京都)の森多悠愛、小川恭平、そして同志社大学(京都)の堀孝輔、昨年ジャパンにも出場した西原昌希という、こちらも東に負けぬ錚々たる顔ぶれ。

この豪華極まりない選手たちが全カレやジャパンの表彰台を争うことになる2020年は、最終学年を迎えた黄金世代にとって「試合に出る最後の年」になる可能性が高い。その2020年を、ファンは「永遠にこないで欲しい」と「早く見たい」がないまぜになった状態で迎えたのではないだろうか。

しかし…誰もが予想もしなかった、東西インカレの中止。

コロナ禍によって、一つ明らかになったこと。

「試合が行われ、そこに選手が出場し、観客としてそれを見ることができる」ということが、どれほどありがたく、貴重なものだったか。

そんなことを、城市選手のツイートを見ながら思った。

城市選手の演技を初めて見たのは、2015年の近畿総体だったと思う。堀孝輔選手(高田高校)が優勝、神埼清明の栗山巧選手が準優勝、そして当時3年生だった川東拓斗選手(坂出工業)が3回前転のキャッチミスで惜しくも3位となり、歴史に残る大激戦を繰り広げた年だった。

その時、私は男子新体操を見始めてまだ半年に満たない「ど素人」だったのだが、「いいな」と思った選手に赤丸をつけていた。今、それを確認してみると…

吉村龍二(科学技術)
武藤翼(前橋工業)
奥田敦志(福岡舞鶴)
城市拓人(昇陽)

の4名に赤丸がついていた。

城市選手(当時2年生)は、順位で言えば36名中、21位である。それでも私に強烈な印象を残した。さらに、その時の会場で某チームのコーチと「城市君はとてもいいですね!」と会話した記憶まではっきり残っている。

その彼が、もう大学の4年生になった。純白のレオタードに身を包み、かかとを高く維持しながら果敢に手具操作に挑んでいく様は、「白王子」という形容がぴったりだ。(黒いレオタード姿の堀選手はさしずめ「黒王子」か)

昨年の全カレの後、優勝した安藤選手と城市選手のインタビュー。

お互いをライバルと認め合いながら、しのぎを削っていく彼ら。この時の彼らもインタビューする私達も、東インカレが中止されるなど、夢にも思っていなかった。

今は選手たちも先が見えずに辛いだろう。城市選手の練習動画に向かって、「ファイト!」「ガンバ!」と叫びたくなった。いや、城市選手だけでなく、全ての選手達に「ファイト!」と叫びたい。どうか一刻も早くコロナが収束し、再び彼らの熱い戦いを見られる日が来ますように。

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