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名取高校 「美しさは力だ」 後編

今年の高校選抜で個人総合2位、ユース大会で3位に入った、遠藤那央斗(えんどう・なおと)。練習着でいる時と、レオタードを着用してフロアの上に立った時の印象の違いが大きい選手の一人だ。顔が小さく、手足が長い。彼を見ていると、羽生結弦選手を連想する(ちなみに羽生選手も宮城県出身である)。

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女子もそうだが、男子新体操はある意味、不公平なスポーツだと思う。スタイルが際立っている方が、同じ動きをしても、観客にはより美しく見えてしまう。そういった「不公平さ」は、ほかのスポーツ(プロ・アマチュアを問わず)にもつきものだし、バレエやダンスの世界にも当然あるものだと思う。

遠藤那央斗には、持って生まれたスタイルの良さ、頭の小ささ、長い手足、整った顔立ちという武器がある。その外見から、そしてこれまでの戦績から、私は彼を「恵まれた天才肌の選手」なのだと思い込んでいた。

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9月16日、名取高校はホワイトキューブで練習を行っていた。彼らを指導しているのは、元全日本チャンピオンの永井直也。選手達の動きを見ながら、時々低いトーンの声で指示を出す。そのオーラと迫力に、私は正直「ビビッて」しまった。率直に言うなら、「厳しい」というより「怖い」に近い雰囲気を、その日の永井直也は醸し出していた。

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ああ、男子新体操の基本というのは、決して華やかでもなければ、キラキラしてもいないのだなぁと、わかっているつもりではあったが、再度認識した。そのような厳しい指導や練習を重ねた上での、あの華やかな演技なのである。頭ではわかっていても、それを目の当たりにすると「指導する方もされる方も、大変なスポーツだなぁ」と思う。

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