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未来の能登を語り合う

22日(水)、東京発7:20の北陸新幹線「かがやき503号」で、9:45に金沢に着く。金沢発9:53の七尾線各駅停車に乗り換え、良川へ(良川着11:14)。
東京から中能登まで、掛かる時間は、新幹線で2時間25分。乗り換えで8分。七尾線で1時間21分。合わせて3時間54分。4時間弱だ。
私が学生の時は、夜行列車で8時間かかった。約半分に縮まった。お金に余裕がある時は、東海道新幹線で米原まで。米原から北陸本線で金沢まで。金沢から七尾線で能登部(私の実家は能登部にあった)まで。それでも6時間強はかかっただろう。

石川県が産んだ詩人室生犀星は「ふるさとは遠きにありて思ふもの」と詠ったが、それは今は昔の話だ。
ふるさと能登は近くなった。

[TEAM OUEN NOTO] のメンバーと合流し、22日〜23日の予定を擦り合わせる。お昼は、道の駅「織姫の里なかのと」にて、能登豚のカツ丼をいただいた。

ランチの後、旧鹿島町井田にある不動滝を視察する。

不動滝のいわれ
不動滝

この不動滝は私が10歳前後だったろうか、真夏の暑い日、父が「不動滝に打たれてこよう。体も心も清浄になるぞ」と言って連れて行かれたことを思い出す。中禅寺湖の華厳の滝や和歌山の那智の滝とは、その高さは比較にならないが、能登の不動滝はお不動様が祀られている石動山の修行の場だった。修行者は、不動滝に打たれて心身を清めた道場なのだ。
私は恐る恐る滝壺に入っていったが、3分も打たれていただろうか。体中が冷えて滝壺から飛び出た。また、あとから入ろうと思ったのだ。しかし、時間が経ってももう滝に打たれようとは思えない。冷えた体は冷えたまま。その3分は私にとっては永遠のように思えた。不動滝にはそんな強烈な思い出がある。60年以上前のことだ。
何でもない不動滝の思い出だが、これは観光中能登町の目玉になるだろう。同じことで、向かいの眉丈山の頂上にある雨ノ宮古墳も同様だ。私は幼少の頃、毎年夏に雨ノ宮古墳子ども相撲大会があり、私は三人抜きで何枚も人絹の生地でつくった旗と鉛筆やノートを貰ったものだ。雨ノ宮古墳も素晴らしい観光地になるだろう。

不動滝を終えて、旧鹿西町の能登上布会館を訪れる。能登上布は弥生時代から織られている由緒ある麻織物だとか。私は15歳まで中能登町に住んでいたから、勿論「能登上布」のことは存じてはいたが、そんな古代からの歴史ある織物とは思っていなかった。情けない。

私が卒業した能登部小学校の校歌にある。

姿優しき眉丈山
流れは清き長曽川
鹿西野々のただ中に
歴史は古き能登部校

遠つ御代(みよ)より伝え来て
今に栄ゆる織り布は
生業(なりわい)励む里人の
習わし永遠に伝うかな

学びの道は世を理する
すべてのことの基(もとい)なり
我らもここに学びつつ
やがて尽くさん国のため

こんな歌詞だったろうか。能登部小学校校歌は覚えているが、鹿西中学校校歌は全く覚えていない。どうしてだろう。

この歌詞にある「遠つ御代より伝え来て今に栄ゆる織り布」「能登上布」なのだ。

織子さんは皆高齢の女性たちだ。根気が必要な熟練を要する仕事だ。大量生産はできない。一番若い織子さんは50代だとか。後継者がいない。人口戦略会議では中能登町は消滅可能性自治体にはなっていないが、このままでは、この能登上布の伝統は消え去ってしまう。どうしたものか。

昨日の宿は良川駅そばの古民家「えにし家」だ。「えにし」の漢字は「縁」。人のえにしで、人はしあわせに生きることができる。

「えにし家」は女将の島喜久子さんが切り盛りしている。島さんは仙台出身。能登の産まれではない。
能登の中でも中能登を気に入って古民家を改築して、能登の伝統、人の思い(優しさ、温かさ)を残したい、後世に伝えたいとの想いで、このビジネスを立ち上げたのだと(中能登は奥能登と金沢の中間地点だ。人と人をつなぐ蝶番役の私と同じ役割ではないか)。

島さんの72歳の挑戦だ。彼女は私より1年先輩。気持ちは青春そのまま。素晴らしい‼️私も負けてはいられない。

能登の出身でない、能登にゆかりのない人が、72歳で能登のために人生を賭けている。能登をふるさとに持つ私は、この能登半島地震でやっとのことで能登に想いを致した。島さんは私に、「能登を応援してほしい」と仰る。逆に、それは、私が彼女にお願いしなければならないことだ。

21時過ぎまで、地元の人たち、県外からの移住者で能登をこよなく愛するえにし家のみなさん、 [OUEN NOTO]の TEAMで、これからの能登を語り合った。
単なる元に戻す復旧ではない。未来を見つめて、未来を見据えて、新しい過疎地能登の未来予想図を描いて、[OUEN Japan]は何ができるかを真剣に考えよう。

不動院重陽博愛居士
(俗名  小林 博重)


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