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"郷に入っては郷に従え"と"6つの精進"

4月は、新しい年度のスタートの月だ。学窓を巣立ち、新社会人として人生にチャレンジする若者たちもいれば、国内外の転居を伴う人事異動で、新たな職場で頑張る社会人もいる。それぞれ、胸に期待と不安を入り混じらせて、新しい人生をスタートさせるのだ。

"郷に入っては郷に従え"という諺がある。
郷とは土地のこと。その土地に住むには、そこの風俗や習慣に従うのがいいという意味だ。
新しい環境に馴染む際は、自分の価値観ややり方を持ち込むのではなく、その場に合わせることが大事だ。その方が、周囲からの協力を得やすく、成果も早く出すことができると説いている。

また、この諺には4つのメリットがあるという。
1.適応力が身に付く。
2.コミュニケーション力が向上する。
3.リーダーシップを発揮できる。
4.自己成長が促進される。

それはそうだと思う。やはり、人々の間で昔から言い伝えられている諺は真実を語っている。一つの生活の知恵、テクニックだと言える。
"郷に入っては郷に従え"の諺は、人生をスムーズに生き抜くための知恵だというのは真実だと思う。

しかし、もっと本質的なところで考えることが大切だ。
人生を真っ直ぐ、人との軋轢もなく、明るく、楽しく、生きていくには、それを人生哲学にまで高めていくことが不可欠ではないだろうか。私が考える、人生哲学から発せられた生き方、考え方とは何か?

それを私は、稲盛和夫さんの"6つの精進"に求めたい。

この"6つの精進"は、稲盛和夫さんが塾長であった盛和塾で最初に教えられた教えだ。

私の事務所はいつも私一人なので、狭いワンルームだ。それを衝立で2つに区切っている。1つは入り口のところでお客様と面会するところ、もう1つはその奥の窓際のところ、私のプライベートルーム(書斎)だ。この2箇所の壁に、盛和塾からいただいた"6つの精進"の額を掛けている。

[6つの精進]
1.誰にも負けない努力をする
2.謙虚にして驕らず
3.毎日の反省
(利己の反省及び利己の払拭)
4.生きていることに感謝する
(幸せを感じる心は、"足るを知る"心から生まれる)
5.善行、利他行を積む
6.感性的な悩みをしない

この6つの教えを絶えず心に置いて生きていけば、人との軋轢は生まれず、幸せな人生を送ることができるのではないか。
相手を思い遣る"恕の心"を持って生きていけば、よその土地でも、人々と仲睦まじく、和気藹々と、人の輪に入って、輪が和になっていく。
そして、楽しく、豊かな、ビジネスとプライベートな人生を送ることができるのではないか。

仲良きことは美しきかな
(武者小路実篤)

和を以て貴しとなす
(聖徳太子、十七条の憲法)

子曰、君子泰而不驕、小人驕而不泰

子の曰わく、君子は泰(ゆたか)にして驕らず、小人は驕りて泰ならず。

現代語訳
先生がおっしゃった。君子は落ち着いていて威張らないが、小人は威張って落ち着きがない。

[幸せの4つの因子]

因子1 やってみよう
因子2 ありがとう
因子3 なんとかなる
因子4 ありのままに

のうち、1と3と4は"自分だけでできること(個人の在り方)"だが、2は"人との触れ合いのなかから生まれるもの(関係性の質・・・感謝、謙虚、利他、許容、承認、信頼、尊敬、自己有用感)"なのだ。

[自己有用感]とは、
自己有用感は、社会性の基礎だ。
人のお役に立った、人から感謝された、人から認められた、という"自己有用感"は、自分と他者(集団や社会)との関係を自他ともに肯定的に受け入れられることで生まれる自己評価のことだ。


「ありがとう」と素直に言うことができる感謝の心を持つことで、何の抵抗もなく、自然に"郷に入っては郷に従おう"という気持ちが湧いてくるのではないだろうか。

不動院重陽博愛居士
(俗名  小林 博重)

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