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すべての女性が望むこと

「ガウェインの結婚」をご存知ですか?
イギリスの騎士道物語『アーサー王物語』の中にある一つのお話です。

私は知りませんでした。
今朝、娘から「とっても面白いから読んでみて」というメールが届き、添付されていた記事を読んで、とっても感動したので、ご存知ない方には、ぜひご紹介したいと思います。

(ちなみに、娘は、決まって私が仕事でてんてこまいになっていると、いいタイミングで、絶妙な情報を届けてくれます。実はこれも、彼女なりの粋な優しさなのです。)

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「ガウェインの結婚」

数々の冒険を成し遂げてきたイングランドの王、アーサー王のもとに、ある女性から「自分の領土が悪い騎士に奪われてしまった。ぜひ取り返して欲しい」という訴えが届きます。
それはけしからん!とアーサー王は、悪い騎士のいる城にたった一人で乗り込んでいきます。
城に到着し、中に一歩足を踏み入れた途端、アーサー王の心は闘士が消え、手足は萎えてヘロヘロになり、命乞いをするような状態になってしまいました。
実は、城には魔法がかけられていたのです。

助けて欲しいというアーサー王に、悪い騎士は「命を助けてやる代わりに、ある問いの答えを見つけてこい、期限は一年だ」と言います。
その時に出された問いが「すべての女性がもっとも望むことは何か」でした。

アーサー王は、一年の間、出された問いの答えを一生懸命に探しました。
少女から老女まで、あらゆる女性たちに聞いて回りましたが、それぞれ違う答えを言ってきます。
「美貌」「愛情」「健康」「子ども」「お金」・・・
とうとう正答を見つけられないまま、一年が経ってしまいました。

いよいよ約束の日。
悪い騎士のいる城に向かう途中、暗い森を抜けていると、一人の酷く醜い顔をした老女と出会います。アーサー王は知らんふりをして通り過ぎようとしました。
すると老女はアーサー王を呼び止めます。
「これ!そこの騎士!立派な鎧姿に、さぞかし高い身分の者かもしれんが、女性を無視して通り過ぎるとは無礼者!」
驚いたアーサー王は馬を降りて非礼を詫びます。
そして、自分の身の上を老女に話します。
すると老女は「その答えを私は知っている」と言うのです。

答えを教えて欲しいと懇願するアーサー王に、老女は条件を出します。
「教えてやるかわりに、私の夫となる若くて立派な騎士を探してくるように」
アーサー王は了諾し、老女から問いの答えを教えてもらい、急いで城に向かいます。
そして、悪い騎士に、問いの答えを言います。

「すべての女性が望むことは、自分の意思を持つこと」

悪い騎士は「なんと!あいつに教わったな!あいつは俺の妹だ!」と言い放ち、約束通りアーサーを自由にしました。

宮廷に戻ったアーサーは気が滅入っています。
なぜなら、老女との約束を果たさなければならないからです。
どうしたものかと落ち込んでいると、忠義なガウェイン卿が、その申し出を自分が引き受けると名乗り出ます。

そして、老女との結婚式を執り行ったガウェイン卿。
新婚初夜、花嫁である老女の顔を見ようともしません。
そこで、なぜそのような態度をとるのか老女が尋ねると、ガウェイン卿は正直に答えます。
「とてもあなたのことが好きになれないからだ。理由は3つある。一つはあなたが年寄りなこと。二つめは醜いこと。三つめは身分が低いことだ。」
すると、老女は言います。

「年を取っているということは、それだけ経験を重ねていて”知恵”が深いということです。醜いということは、他の男性は言い寄っては来ないので安心でしょう。そして、人の価値は、身分ではない。美しい心が何より気品があり、それは生まれではなく身に着けるものではないか。」

それを聞いたガウェイン卿が「なるほど…」と思い振り返ると、そこにはなんと!美しい女性がいたのです。実は、これが本当の姿で、義母から魔法をかけられて老女にされていたというのです。
そして、若い立派な騎士と結婚できたことで、1つ魔法が解けたというのです。
ただ、この姿は1日の半分だけで、もう半分は、まだ魔法がとけていないので、老女の姿になるといいます。
女性は、ガウェイン卿に、昼と夜とどちらが魔法が解けることを望むかと尋ねました。するとガウェイン卿は、「自分だけのものにしたいから、夜にしてくれといいます」
ところが女性は「女性というものは、殿方や他の女性たちと交流する時に、美しい姿でいたいと思うものなんですよ」といいます。
すると、ガウェイン卿は「君の好きにすればいい」といいます。

女性は、幸せそうな満面の笑みを浮かべ「今、これで全ての魔法がとけました!もう、夜も老婆に戻ることはありません。」

そう、2つ目の魔法をといたのは
「自分の意思を持つ」
だったのです。

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いかがだったでしょう?
このお話しは、今から700万年前に作られたそうです。すごいですね。
700年後の現代の女性たちは、果たして自分の意思を持てているでしょうか。

女性が、自分の意思を持つこと、そして、思いをはっきりと口に出せるって、素敵だなと思います。
思慮深く、いつも相手を気遣い、きちんと感謝を伝え、そして自分はこう考える、と意見を明確に言える。
そう、私が好む女性の姿です。

日本にいると、そうあり続けることは、なかなか難しいなあと思う時が多いです。
だからこそ、こういう女性と出会うと「なんて素敵なんだろう」と感動します。

そのことをよく知っている娘なので、「ママ自身が、いつもそんなカッコイイ女性を目指そうとしているじゃない?その姿が素敵なのよ、大変だろうけど頑張って」と多分、娘は言いたいんじゃないかな…と思いました。
いつもさり気なく、粋な優しさを届けてくれる娘自慢を、今回はお許しください^^

鶯千恭子(おうち きょうこ)



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