4月27日CA
【テーマ】健康保険証をマイナンバーカードに一本化する是非
【記事】
政府はデジタル社会形成の一環として、現在使われている健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーに一体化することを決めている。そのため政府はマイナンバーカードの取得を国民に積極的に促しており、キャッシュレス決済を行った場合、マイナポイントという形で健康保険証の紐づけ等を行うと、最大20000円分の還元がなされる仕組みを作っている。そして現在、マイナンバーカード保険証利用申込者数は2023年4月16日現在約5893万人が登録している。さらに政府は4月から従来の健康保険証を使った場合の診療はマイナンバーを使った場合に比べて6円上乗せされるようになった。
このように政府は国民に一本化を促す一方多くの課題が指摘されている。1つは残り1年半の間に半数以上の国民に対してマイナンバーカードの取得(2023年4月21日時点約9614万枚 取得率76.3%)及び保険証としての利用登録を済ましてもらう必要がある。また、一人暮らしの高齢者等カード取得自体が難しい人や情報流出等の心配からどうしても取得をしたくない人に対しての対応も大きな課題である。
政府はまだ多くの国民に一本化の必要性の説明を浸透しきれていない状態である。そこで今回、健康保険証をマイナンバーカードに一本化する是非について議論していきたい。
私は健康保険証をマイナンバーカードに一本化することについて反対の立場から議論します。皆さんは健康保険証をマイナンバーカードに一本化することについて賛成の立場から議論をお願いします。
Q:どの期間なら実現すると思いますか?
A:国の本気度。5年はみたい。
【意見・論点】
①1年半の間で国民の半数以上が保険証登録を済ますことの実現性の乏しさ
→一人暮らしの高齢者や、情報流出の心配からどうしても取得したくない人への対応だけでなく、生まれてすぐの0歳児のカード取得をどのように行うのか、認知症の人に対してはカードの管理自体が難しい可能性があり本人の番号流出を防ぐ必要があり、保険証登録までに多くの障壁がある。
Q:保険証を認知症の人が管理すること自体も難しい。
A:マイナンバーの暗証番号は4桁。携帯の後ろにメモを挟んでいたときに危なくなる。
Q:認知症の人がマイナンバーを取得する時はどうするのか?
A:代理人と一緒にする。
Q:その人に管理してもらえばいいのでは?
A:個人情報を管理するから本人がするべきだ
②情報漏洩の危険性
→紛失時、氏名・住所・マイナンバーの個人情報が漏洩の可能性だけでなく、再発行自体にも時間がかかる。またマイナンバーカードの機能多様化は便利さの反面、万が一漏洩した場合の反動が大きすぎる。
Q:持ち歩く物が1つ減るから無くさなくなる。ネット社会でいつ漏洩するか分からないので同じでは?
A:銀行の口座を止める等がめんどくさいので、別々で持つ方が良い。
Q:クレジットカードもマイナンバーと同じような現象が起きる。情報漏洩の危険性は何に対して起きるのか?財布を落とすこととマイナンバーを落とすことは変わらない。
A:マイナンバーは国が管理。口座は銀行が管理。日本の管理は甘いので、国に全てを集約することが危険。
Q:トライ&エラーで試していくことが大事なのでは?
A:一部の人に対して浸透していない。
Q:半数以上は登録しているが?
A:義務化になっているからしているだけ
Q:義務化しても問題にはなっていない。
A:時間をかけて行うべきと国会内では出ている。
③医療機関がマイナンバーカードを保険証として利用できるシステムの導入に対してコストや準備に対して大きな負担となる
→3月26日時点(厚労省発表)では医療施設全体で60%が導入できているが、規模の小さい診療所(49.6%)・歯科診療所(53.2%)となっており、窓口でのマイナカード利用が不慣れな患者への対応・システム不具合の場合等本業以外での負担の増加の恐れや、コスト面では補助金が出るものの場合によってはランニングコストに1000万円以上かかるため、医療機関だけでなく税金としても莫大な負担の可能性がある。
Q:未来の投資としてみれば良い。
A:これをするなら医者辞めたい人が14%いるから、無理に変える必要はない。
【その他】
Q:保険証は、顔写真がない分、複製がしやすいマイナンバーカードは複製しにくい利点があるけどどうか?
A:マイナンバーカードは口座を作れたりするので危険もある。
Q:保険証でも危険性はあるのでは?
A:保険証は情報が限られているからマイナンバーよりは大丈夫。
Q:引っ越しが楽になるから一本化しておく方が良い。
A:全員がマイナンバーに移すのに時間がない。
Q:認知症の人とかを国に知らせておくことができるから国の役割を果たすのでは?国民を楽にすることが良い。
A:0歳児のカードなどは顔写真がいるので対応しきれない。時間がかかる。
Q:0歳児のカードは作っているのか?
A:対応していないのが現状。
Q:パスポートと同じ原理でよくないか?
A:適応できると思うが、役所なのでそこまで回っていない。
Q:パスポートがそのシステムを導入できたから、マイナンバーにも適応できる。マイナンバーの方が早急に対応するべき。
A:成長過程で写真更新したらいい
Q:本人確認がしやすくなる。(ホテルとか、旅行支援とか)顔写真もついているから正確性が増す。
A:ホテルの確認はバラバラ。そもそもホテルの確認を統一するべき。
【予想される反論・再反論】
①支払い面や正確なデータに基づいた診療・薬の処方が受ける等一体化による利便性が高い。
→その反面、マイナンバー制度はあらゆる個人情報の国家による一元管理を可能とする制度となるため、監視社会化につながる可能性がある。
Q:監視社会になるとは?
A:どこにいても何をしているか分かるようになることを危惧している。
Q:ビデオで監視している分けではなく、テロを未然に防ぐなどの利点があるので便利では?一元管理できる方が国のメリットになるのでは?
A:人間のプライバシー権を考えると、やめてあげたい。冤罪が起きかねないので危ない。
②医療機関での受付を自動化できる
→顔認証などは通常時は便利である。しかし、災害時などイレギュラーの場合もシステムが作動する保証がない。
Q:今の保険証と同じなのでは?
A:2024年の秋にこれを行うと、災害時などに対応できない。
Q:マイナンバーで変えたところで、災害時にイレギュラーが起きるのか?
A:医者の対応が追いつかない。
【参考文献】
NHK 政府2024年秋 健康保険証を廃止 マイナカード一体化発表 2022年10月13日
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/90489.html
NHK 従来の保険証 3割負担の患者の場合 窓口負担6円上乗せ 2022年12月23日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221223/k10013932841000.html
NHK “マイナ保険証 導入義務はリスク負担大きい” 医師ら提訴 2022年2月23日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230222/k10013988501000.html
デジタル庁 よくある質問:個人情報の保護について
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_faq_05/
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
日本弁護士連合会 「マイナ保険証」取得の事実上の強制に反対する会長声明 2022年9月27日
https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2022/220927.html
【先生からのコメント】
日本は何かあったら個人情報を集める社会である。しかし、テクノロジーの社会になると、民主主義は守れない現状がある。
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