未来のない仕事で、未来を考える

私は、一食分のドッグフードが入った袋に、"sample"と書いたシールを貼る仕事をしている。

AIの発達や人口減少などが襲う未来で、真っ先に奪われそうな仕事でもある。

誰でもできる、すぐできる。この仕事を失ったとき、残るスキルや経験がないという意味でも未来がなさそうな仕事だが、その中でどうやって未来をつくっていくか考えてみる。


・価値ある経験をしたい

派遣の単発で何度かやる分にはいいものの、同じ商品で同じことを永遠に続けるというのは、正直一日で飽きた。それに頭の中は暇なので色々と考えてしまい、幼児でも老人でもできる仕事を永遠にやり続けることに、日に日に焦りを感じ始めた。

元々は、フォークリフトの資格を活かし経験を積みたいと思って入った会社だった。

しかし、フォークリフトに乗っているのは全員男性で、女性は皆加工部門へとまわされていた。男性の中には若い人もいるものの、シール貼りや段ボールの組み立て等をしている女性たちは、母親よりも歳上の人ばかり。

若いうちにできること、今しかできないことがあるんじゃないか。とシールを貼りながら延々と考えていたけれども、色々と挑戦した結果が今の仕事なので、他に何も思いつかない。

仕事以外でスキルアップしようと考えるも、学生時代のトラウマでどうしても試験が受けられなくて、汚くなった参考書が家には無駄に積まれていた。


どうしようもなくなって、つまらんつまらんと思いながら仕事をしていたのだが、果たして価値がないのは仕事の方なのかということである。

Y〇hoo知恵袋で似たような気持ちに陥っている人の質問を見つけたのだが、「仕事に未来がないのではなく、あなたに将来性がないのでは?」という回答があって、グサッと胸にきた。その通りすぎて、心が折れてしまった。

しかし、将来性がないからといって自分の未来もないといえるのだろうか。


・経験を価値あるものにするために

仕事そのものに価値がないわけではない。価値があるから、何年も続いてきたのだ。ただ、私が価値を見出していないだけだった。

小さなことでも価値を見出す、なんだって楽しめる人間になりたい。

そのための経験を積むために、私はこの仕事にご縁を頂いたのかもしれない。そう思うと、気持ちが楽になった。


・未来はつくるもの

薄給だし、非正規だし、貯金なんておろか、厚生年金と健康保険を引かれたらギリギリのお金しか手元に残らない。

今は若い。若いうちは多少の無理もなんとかなるけれど、歳をとるほど色んなことができなくなってくる。今でさえギリギリなのだから、老いたら終わりだと思って、目の前が真っ暗になってしまった。

しかし、未来は与えられるものではない。自らつくるものである。


計画的に動くことは大事だけれども、それを頼りに生きるのは意味がない。人生なんて思い通りにいく訳がないのだから、その都度"今"の最良の選択をする必要がある。

○○すれば安心だ、○○すれば大丈夫というのは偽の安心感である。たとえば、保険や持ち家、権力や名声など。ゲームの中での成長による安心感も幻である。

それらが良くないわけではない、それで食べている人もいる、救われている人もたくさんいる。ただ、常に中心にあるのは自分でなければならないということだ。

消費社会の与える幻と上手く距離をとりながら、不安と戦い続けることが未来をつくるということだ。


・「大丈夫かな?」を「大丈夫!」に変えていく

幼い頃、自分が何を不安に思っていたか、何を求めていたのか考えてみる。

学歴と全てにおいて優秀であることを求められる学校という社会の中で、常に追い立てられられ息を切らしながら走り続けていた自分が求めていたのは、穏やかな心と追われるのではなく「夢を追いかけられる環境」と「本当の自分で生きられること」だった。

夢とは、ヒーローになるとか具体的なことではなく、"漫然とした幸福"のこと。本当の自分とは、自分の過酷な運命まで含めた自分のことである。自分が生きたいように生きられない、その中で自分らしくあれることである。

何も持っていない、何も成せていないけれど、きっと当時の自分が今の自分をみたら、「よかった」と笑ってくれるはずだ。

これなら安心だ、と思える未来を"今"生きていく。

「大丈夫かな?」を「大丈夫!」に変えていく。

今の私にできることは、それだけだと思った。


・自立した人間とは

女なので、よく「結婚のための努力をしろ」「女を磨け」というアドバイスがくるのだが、一人で生きていけない人は二人になっても生きていけないのである。

それは経済的なものだけでなく、心の自立も然り。

一人で勝手に幸せになれない人は、二人になっても幸せにはなれない。もちろん、二人でしかつくれない幸せというのはあるけれど。

私は仕事がつまらなくて毎日が楽しくないと思っていたけれど、それをも楽しめるということがまた自立に繋がると思うから、頑張ろうと思った。(まだまだ学びの途中である)






















 




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