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変わり者でも
「変わってるね」
この言葉を、何度聞いたか分からない。物心つく頃には既に、変わっていて、浮いていた。
「どうして?」
どうしてそんなことするの?どうしてそんなこと考えるの?聞かれる度に私は困った。
そんなこと分からない、だってそれが普通だからだ。
適度に普通から外れていれば、"おもしろい人"で済む。
しかし、「変わってるね 」から「変人」に。
そして「頭がおかしい」人と認識されてしまった私は、学生時代友だちがいなかった。
大人は、教師は、ダイヤの原石を探している。
磨いて光れば、自分の手柄にもなるからだ。
今は"バカ"でも、本当は"天才"なのかもしれない。
「あなたには特に期待してるの」
これも何度言われただろうか。
「ガッカリだよ」
これも何度も聞いた。特に、高校を中退して去るときに。
私は頭がおかしいんだ。悩むうちに、本当に頭がおかしくなって、統合失調症になってしまった。
2回目に、精神科に入院したときのこと。
「え?勝手に野宿して頭がおかしいから入院?」
医者は驚いていた。同時に、変わり者が入ってきたぞ〜、とわくわくしているのが伝わってきた。
私は2ヶ月強の入院期間、毎日面談をされ徹底的に話を聞き出された。
そして出た答えは、
「あなたは重度の発達障害の凡人です」
彼はつまらなそうに言った。
毎日話を聞いて、生い立ちや考え方のプロセスを徹底的に研究した結果、彼は私の言動のほぼ全てを理解したのだ。
「最初はとんでもない天才かと思ったけど」
IQテスト見るとそうでも無いみたいだし、と彼は続ける。
IQテスト、WAIS3は、私が鬱病と統合失調症だったときに測ったものだ。結果がよくないのは当然だろうと思ったが、私は何も言わなかった。悔しかった、また勝手に期待されて、勝手に裏切られたと思われていることに。
しかし、はっきりと私の立場に名前がついたのは、本当に嬉しかった。「発達障害」で「凡人」、普通の人なんだと!
"普通の人"として、人生をやり直すんだ。
それから私は、「普通」というものをとことん研究した。
「人は、頑張る人よりも
自分を理解してくれる人のほうが好き」
加藤諦三先生の本にあった言葉だ。
「普通」が知りたくて、そのために"相手を理解"しようとしていた私は、いつの間にか友だちが沢山できていた。
学生時代、普通になろうと変に努力していたのは、逆効果だったというわけだ。
「あなたが男の人だったら恋してた」
同性の友だちから、これも何人かに言われたことがある。
相手を理解しようとして、そしてそのままの相手を認めてあげることで、結果的に私も認められて居場所ができたのだ。
今はだいぶ、"普通の人"になれたと思う。
"常識"はまだ理解しきっていないけれど、いつでも"相手"のことを思っていれば、個性として許してもらえるだろう。
変わり者でも居場所はできる。
孤独を感じている人達が、自分の居場所を持てる世界でありますように。
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