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4月29日(2011年)傷跡を目の当たりにして

チケットの発売は平日。
地下鉄が復旧するか否かは直前まで不明。
試合前日に全線開通することが判明するも、車で北上することにした。
日常とは程遠い中、早朝に浦和を発ち東北道を一路仙台へ。栃木県から福島県に入る辺りから道路は所々うねり、左車線には自衛隊の災害派遣トラックが列を成していた。途中渋滞に嵌り一般道に迂回しながらも、お昼頃には仙台泉に到着。埼玉や東京と違い、コンビニの品揃えは豊富だった。
スタジアム正面から時計回りにアウェイ側に歩く。バックスタンド下には震災で壊れてしまった照明が置かれていた。
いつも通り戦おう。
あくまでも平常心を保とうとしても、スタジアムの雰囲気に飲まれそうだった。
少しでも選手たちの力になればと声を張り上げたが、今日ばかりは完全なアウェイだった。
敗戦。
震災後の特別な試合だったから、ホームアドバンテージがあったからではない。浦和の力負けだった。
階段を降り足早に七北田公園を抜ける。公園のあちこちも土が割れ歩道のブロックは浮き上がっていた。
帰路の車内はJリーグが再開した喜びと、生々しい傷跡を目の当たりにした息苦しさが交錯していた。

何事もなかったかのようなスタジアム正面
精一杯戦った
完全なアウェイだった


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