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全国のベンチ外選手へ

お疲れ様です。
ワカドリの上野おつりです。

今年も甲子園が終わりを迎えて、いよいよ夏が終わると感じさせられている最中であります。
私が高校野球を引退したのは、2年前です。もうそんなに経ってしまったのかという感覚。
高校野球を経験したからこその見え方もあるので、その感想のようなものを語りたいと思います。

といっても、今年は母校の試合と甲子園の後半ぐらいしかみれてないのですが決勝はフルで見たのでそれに関する感想を述べていきたいと思う。
いまや絶対的王者の立ち位置を築きつつある仙台育英高校と人生のエリート街道を邁進している慶応高校の一戦。
慶応高校は野球だけしていても入部できないような、いわゆる文武両道校の代表的な存在である。
この二校を見て、どちらにせよこの一戦をおえた先に高校野球の時代が変わるなと思いました。

慶応高校は大学との絶対的パイプがあり、多くの高校生が進学したい高校の一つなんじゃないかなと思う。今どき、プロを目標にして高校野球の世界に飛び込む選手は少なくちゃんと卒業後のことまでも考えて進学を選ぶ中学生が多い。そんな中で、慶応大学がほぼ確実にいける慶応高校はとても魅力的な学校に映ると思う。
そして坊主廃止していて、練習時間もだらだら長くしないという画期的な学校である。

仙台育英は恵まれた練習環境の下で野球に打ち込める環境がそろっている。
そして、なんといっても監督が素晴らしい。須江監督は野球脳が優れているだけでなく、人間的に素晴らしい人である。
高校野球ではよくも悪くも監督がとても重要だと感じる。
須江監督は選手のことをよく見ていて、理解している。

両校とも色々な魅力に詰った学校であった。

試合を見ていて、感じたことは両校ともに投手のレベルが高い。
140キロを優に超える速球と変化球をコースに投げ分ける能力がある。やはり野球は投手による部分が大きいと再確認させられた。

そんな薄っぺらいところはさておき、今年の決勝をみていて一番感動したシーンは最後の森林監督のインタビューである。
「この勝利はベンチ外の選手を含めたチーム全員の勝利です」と語気を強めていっていた。
この言葉に救われるベンチ外の選手が何人いただろう。
甲子園を目指し入部した野球部の最後の夏に、その辺のおっさんと一緒にアルプススタンドで応援することがどれだけ辛いことか。。。
正直、4月時点でほとんどの強豪校がベンチ入りメンバー候補が決まっていると思う。
今まで腐りかけた思いを何度もしただろう。いや、腐っていてもおかしくない。

高校野球は残酷だ。

みんな綺麗事を言う。一生懸命にすることに意味があるのだと。
そんな言葉では納得できるわけがない。
結果が出て、意味があるのだ。
ベンチに入り、甲子園に立てなければ意味がないのだ。
ベンチ外になるということは、正直なところ高校野球人生の失敗であり、敗北なのだ。
これは、私が死ぬほど感じたことだ。

チームは甲子園決勝まで進んで、ベンチ入りメンバーがスポットライトを浴びる。
誰もベンチ外の選手のことなど見ていない。
同じ野球部で三年間やってきたのに、20人のベンチ入りメンバーにはいれなかったら、蚊帳の外のような扱いを受ける。
吹部やチア部の子を始めとした同級生にスタンドで背番号のついてない恥ずかしい姿を見られ、気になっていた女の子の視線は自分ではなくグランド上の選手に向いている。
こんな辛い経験はなかなかないだろう。

そんな中で、最後の最後に監督の心のこもったあの言葉を聞いて多少は自分の存在価値を認めてやれたと思う。

高校野球でベンチ外を経験した人以外には絶対この気持ちは分からない。
分かられてたまるかとまで思う。

全国のベンチ外球児へ

本当にお疲れ様。
よく頑張った。
よく耐えた。
よく最後まで辞めずに頑張った。
貴方達は絶対にベンチ入りメンバーよりも立派だ。
世間は気にもしてくれなかったかもしれないけど、君の両親やチームメイト、監督は君の努力を知っているよ。
これから先の人生が本番だ。
ここから大逆転するために18歳で大きな挫折をしたんだ。
今回の敗北無駄にしないようにしような。
俺も同じ敗北者として、次は勝てるように頑張るよ。

上野おつり


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