脆弱系魔術_その理論と実践__2_

脆弱系魔術 ~その理論と実践「第二話:森林性出現憑依型のケース」セクション4

私が顧問の言っていることに注意をはらいながら、質問を続けようと口を開くと。
ベラ「貿易商の……」と言いかけた瞬間、部屋全体がざわついた気がして思わず口を閉ざす。
顧問「今?なんて?」と、顧問が聞き返して身を乗り出すと、近くにあった獣の装飾品がガタッと傾き、顧問の頭の上に落ちてきた。
私は素早く獣の装飾品を手で抑えた。
ドクン!しまった!
顧問「ふぅ、危なかった。どうもありがとう」
ドサッ!私は顧問の言葉を薄っすらと意識の端の方で聞き取りその場に倒れてしまった。
獣の装飾品を手にしたまま、天井を見上げて身動きがとれない。
この部屋がどんどん小さくなるような感覚を感じながら、天井のライトに潰されるような感覚とともに私の視界はホワイトアウトしていく。
遠くから声が聞こえる。
(お前が殺った)
(お前が殺った)
(お前が殺った)
その声は徐々に近づき、数が増えてくる。
(お前が殺った)(お前が殺った)
(俺達を殺した)(お前が殺った)
(お前たちがやった)
(お前たちがやった)
(返せ)(返せ)(返せ)(返せ)(命を返せ)
ベラ「違う!私じゃない!」
(お前たちはそうやって命をムダにするんだ!)
(いつだってそうやって命を粗末にするんだ!)
ベラ「違う!命を粗末になんてしていない!」
(お前が殺った)(お前たちが殺った)
(お前も死ねばいい)(命を粗末にするなら死ねばいい)
ベラ「違う!命を粗末になんてしていない!私は殺してない!私は殺してない!」

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