脆弱系魔術_その理論と実践__2_

脆弱系魔術 ~その理論と実践「第二話:森林性出現憑依型のケース」セクション5

ファニーが持ってきてくれた冷たい布がひんやりと心地良い。
ベラ「あんまり意識しないようにしていたんだけど、この村って狩猟の村でしょ?」
この冷たさを額に感じながら目を瞑ると雑念がスゥーッと引いていくようだ。
ファニー「はい」
ベラ「いたるところで苦しみの声が……この布団も」
ファニー「毛布だ。じゃあこれ、師匠には合わなかった依頼ってことですねー。落ち着いたら、帰りますか?よし、帰りましょう!」
そうしようかなあ。はっ!
ベラ「だめ!護符使いが難しい依頼を解決したんだから。絶対負けらんないわ」
思わず体を起こして冷たく絞った布を額から落としてしまう。
ファニー「ですよね。で、これからどうしますか?」
ファニーはゆっくりと私を気遣うように、そっと両肩を抑えて再び横になるよう押してくる。
私はそれに従うようにゆっくりと仰向けに寝転んだ。
ファニーが落ちた布を拾いながら、席を外す。
私はこれまでのことを頭のなかで整理しようと起きたことを思い出してみた。
少し離れた別の場所から落ちた布を洗う音が聞える。
このままじゃ絶対に駄目。私だって認めさせるんだから!
護符使いなんかに負けてたまりますか!
ファニーが落ちた布を洗い終え、再び冷たく絞った布を私の額の上に乗せる。
このひんやりとした布が私の考えの整理を手伝ってくれるようだ。
あの時、ザワザワした感覚が膨れ上がったのは、貿易商と口にしてからだった。
あの獣の装飾品、攻撃的だったな。

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