リレーゲームブック小説2

リレーゲームブック小説(ミッションの前に腹ごしらえだ)

僕は一呼吸おいて、馴染みの御店へ向かった。

ミッションの前に腹ごしらえだ。

GIFTカフェと言われるこの御店は、前の人の入金で次のお客に商品が提供される御店だ。

僕はいつもそこで、GIFTを貰っている。

恐らく、高額景品入手者が多くのお金をこの御店に落としていってくれるおかげで、僕たちの食事は成り立っていた。

GIFT経済は、いまや一般的となっており、様々な物品をGIFT経済によって入手することが出来る。

僕も高額景品を獲得した時は、いつもお世話になっているこのGIFTカフェにこれまで貰ってきたGIFTを返していくつもりで、高額を払って帰っている。

「なんだい。今日は取れなかったのか?」御店のマスターが僕の顔を見るなり話しかけてきた。

と言うよりも、この御店での挨拶の言葉のように御店のマスターはこの言葉を使っている。

いらっしゃいませとかではない。そう、いつもこの言葉だ。

いや、最近は「おめでとう!ミッションクリアしたんだってね」なんて言葉をこのマスターから聞いていない気がする。

マスターもこの御店もここに訪れるお客の顔ですら、暗い表情の人ばかりが集まるようになった。

「いつもので」僕はそっけなく注文をした。

「ところで最近入金あった?この御店は潰れたりしないよね?」僕の言葉に周りのお客が興味深げに視線を投げかける。

皆聞きたくても聞けないことだと知っている。願わくば、僕もこんな事は聞きたくはなかった。

でも、ここ最近の事情を考えると、この御店ももって後半年なのではないだろうか?

「このままだと、後もっても半年だな」

やっぱり。僕が何とかしなきゃ。高額ミッションをクリアしなきゃ。

ピピピ

僕のウェアラブルデバイスに通知が届く。

御店に居る全てのお客にも同様の通知が届いたようだ。

「うぉ~!俺がこのミッションを取ってこの店を救ってやる~」

「いや!それはこの俺の役目だ!」

と、ドヤドヤと店内が賑わいだし、お客はほぼ全て猛ダッシュで御店を飛び出していった。

「あんたは行かないのかい?」マスターが僕に聞いてきた。

#行くよと僕は答えた

#行かないよと僕は答えた

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