ジェミニの章

第12章 ジェミニの章 パートⅡ

シャウラ王女「それにしてもアクベンス。その女性とはどんな関係なんだ。昔から知っているような態度だったじゃないか」

アクベンス「私の妻レグリーです。プレアは私の娘になります」

シャウラ王女、プレア「え!!!」

カシミール「ずっと母子家庭かと思っていたわ」

レグリー「そうよ。アクベンスとは別れたもの。こんな感じでまた合うなんて運命の石もひどいわね」

アクベンス「そうだな……」

プレア「私にパパがいたの?」

レグリー「なにプレア?死んじゃってると思ってたの?」

プレア「だって、なんにも教えてくれないし、ずっと居なかったから……もしかしてって」

レグリー「ずっと何にも聞かれなかったから話さなかったのよ。でも、もっと小さい頃に一度だけ聞かれたからちゃんと答えたわよ。今は居ないのって」

プレア「それよ。今は居ないってそういうことじゃなかったの?」

レグリー「違うわよ。ここに今は居ないのってことじゃない」

プレア「そんなの分かるわけないじゃない!」

レグリー「まったくもう、早とちりしちゃって」

早とちりではないだろうと、その場に居る誰もがレグリーに疑惑の目を向けている。

シャウラ王女「どうして別れたんだ?馬が合いそうじゃないか」

アクベンス「私が城での仕事に掛かりきりになっていたからな」

シャウラ王女「私のせいか」

アクベンス「いえ、そういうわけではありません。私の身勝手な判断です」

ラム「懸命な判断だと思います。そのまま運命の石が3つも揃っていた場所が長く続いていたら、どんな災いが起きていたか」

アルレシャ「でも、家族なのよ。運命の石の力が強いからって、別れなきゃならないの?それじゃ私達もいつか結ばれて、子供が運命の石を持っていたら別れなきゃならないの?」

ラム「それは……」

アルレシャ「なによ。ちゃんと答えて!」

アクベンス「いや、そういうわけじゃない。どんなに強い力によって災いが起きたって、家族は乗り越える力を持っているよ。俺はそう信じている」

プレア「大人が言いそうなことね。ね?キッド」

キッド「え?あっ、う、うん……」

スピカ「別れる必要なかったんじゃないか?」

シャウラ王女「スピア、今はまとめるところだ。口を慎め」

スピカ「王女が初めに聞いたんじゃないか。こっちはその運命の石の力ってやつに翻弄されて参ってんだよ」

カシミール「そうね。運命の石の力が強くなりすぎると離れ離れにならなきゃ行けなかったのかもしれないわ。私がジェミニを探そうとしなければ、こんなにこの場所に運命の石が揃うこともなかったかもしれないのに。私のせいだわ」

シャウラ王女「母と子が、父をまた子や兄弟を探そうとすることに罪はない。それが運命の石を持つものであってもだ。プレアにレグリー。すまなかった。私のせいだ。アクベンスをこき使っているのは私だ」

レグリー「王女様のせいじゃないわ。アクベンスが融通きかないだけよ」

アクベンス「そ、そうだな。全て私のせいだ。すまない。プレア」

レグリー「私にはないの?」

アクベンス「あ、そうだな。す、すまなかった。レグリー」

レグリー「なにそれ、ついでみたいな感じ」

シャウラ王女「アクベンスよ。どうだ。城に戻って落ち着いたら休暇を出そう。家に戻ってみては」

アクベンス「近衛兵長である私が城を離れるわけには……」

シャウラ王女「何を言っている。ここ最近ずっと城から離れているではないか。今更だぞ」

アクベンス「それはシャウラ王女の護衛としての責務であって」

シャウラ王女「ならば、レグリー。私がそなたの住む街でしばらく共に暮らそう。護衛係も付いてくるだろう」

レグリー「いえ、王女様。その気配りは不要ですわ。やはり近衛兵長が長らく城を不在にするわけには行きません。プレアももうこの位大きく育ちました。今更戻ってこられても困りますわ」

プレア「う、うん……どうしていいのかわからない」

シャウラ王女「どんな別れ方をしたらこんなに嫌われるんだ?アクベンス」

スピカ「王女、今はまとめるところだ。この話はもう終わりにした方がいい」

そうだ。もう引き返せない。過去には戻れない。あの日旅立ちを決めた時、こうなることは分かっていたじゃないか。

行くしかない。

突然、ジュニアがふわりと起き出し、風の精霊を呼び出して外へと飛び出した。

その先には、ジェミニが居た。

早馬を走らす、ジェミニとヨウフェーメーにジュニアが飛びかかる。

ジェミニは、襲いかかるジュニアの攻撃を既の所で交わした。

ジェミニ「ジュニア!止めろ!」

ジュニアは反転して、早馬から飛び降るジェミニに飛び蹴りを与えるが、ジェミニは腕で受け止め払い除けた。

ジュニアは、後方宙返りでジェミニと対面したまま前傾姿勢で着地し、攻撃態勢のまま、顔を伏せ片手で地面を掴む。

ジュニア「お父さん。僕は……リブラの石を渡して……」

ジェミニとジュニアが距離を取り身構えている横を、ヨウフェーメーが急ぎ足で通り過ぎシャウラ王女の居る方角へと駆けていく。

ジェミニ「ジュニア……お前!?」

話す間もなく、ジュニアの第二打目が矢継ぎ早に飛んでくる。木の精霊を操り、飛び出してくる枝木に火の精霊を操り火を付ける。

ジェミニは水の精霊を呼び出し、水圧で枝木を跳ね飛ばす。

ジュニアが周辺に風の精霊を呼び出し竜巻を起こすと、ジェミニは土の精霊を利用して壁を作り風を押しつぶす。

土埃を上げて飛び散る土の破片の間からジュニアがジェミニに飛びかかり、ジェミニの持つ運命の石が入った袋を風の鎌で切り裂くと、リブラの石とジェミニの石を含む精霊の石が辺り一面に飛び散った。

ジェミニ「くっ、しまった!」

バサッズドン!

大きな土埃を上げて元の大きさに戻った青龍メリクがジュニアと向かい合う形で、ジェミニとの間に入り込む。青龍メリクの両足の下には、リブラの石とジェミニの石が落ちている。

メリク「お前にだけはこの石は渡せない!あの時は油断して奪われたが次は無いぞ」

ジェミニは突然の来訪者に身じろぎしたが、直ぐにジェミニの石を手にしようと青龍メリクの足の間に入り込む。

それを感じ取った青龍メリクはジェミニの動きを素早い足の動きで封じ込めた。

ジュニアの精霊の攻撃が襲う中、メリクはその場を動くこと無く応戦している。

ジュニア「またリブラの石を破壊するつもりか!」

木の精霊で作られた矢じりが青龍メリクに飛びかかる。

ジェミニは青龍メリクの足元でジュニアの攻撃から守られていた。

メリク「今回はその必要はない。こいつにも手伝ってもらわなければならないからな」

応戦を続けながらジェミニに対し、メリクがリブラの石を蹴りつける。

ジェミニは飛んできたリブラの石を素手で受け止めた。

ジェミニ「止めろ!ジュニア!青龍よ。もう一つの運命の石も返せ!」

ジェミニは運命の石が落ちている場所に向かおうとするがメリクに尽く邪魔をされる。

メリク「それは無理だ。この石は今、破壊する!」

足を持ち上げた瞬間、ジュニアの風の攻撃とジェミニの風の攻撃が重なり合い青龍メリクを持ち上げてズドンと転倒させた。

ジュニアは運命の石を取りに来たジェミニに炎の精霊で焼き付ける。

運命の石を目の前に後方に退き、炎から間一髪で免れるが、ジュニアは続けざまにジェミニの持つリブラの石を奪い返そうと、近くに落ちているジェミニの石に目もくれず、攻撃を仕掛けてくる。

転倒した青龍メリクが起き上がり、ジュニアに体当りしたためジュニアとジェミニの距離はまた少し遠のき、依然としてジェミニの石は青龍メリクの足元にあった。

メリク「貴様だって!この男が危険な存在なのは知っているはずだ!リブラの石を渡すな!そしてジェミニの石をぶち壊せ!」

青龍メリクがジェミニに怒声を浴びせ、ジュニアを倒すのに協力しろと大声を張り上げる。

ジュニア「お父さん!青龍の言うことなんて信じちゃダメだ。リブラの石を早く僕に預けて……」

ジュニアが水の精霊から作った水泡を鉄砲のように弾き、青龍メリクとジェミニに攻撃するが、それを土の精霊の力と木の精霊の力で壁を作り攻撃を防ぐ。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 117

いつもサポートありがとうございます♪ 苦情やメッセージなどありましたらご遠慮無く↓へ https://note.mu/otspace0715/message