《東北編》天津織姫の苦しみ【偽善者】



これまでの一連の流れを海巫女に話すと
「まだありそう…」と



もっと深いところに隠した想い
そこまで潜れると…



同日、午後より再び天津織姫と
話をすることにー



ところが、意識を向け深いところに
行こうとすると全く見せてもらえず
眠りにつかされてしまうのだ。



何度試みても、アクセスしているうちに
ウトウトしてしまう。



やはり、神であっても認めたくない部分
触れられたくない部分があるのだ。


もう、いっそのこと寝てしまおうと
しばらく休み、夕方より再び対話を試みる。



しかし、なかなかその尻尾を掴むことができず
どうしたものか…と途方に暮れた。




その瞬間、気仙沼入りした当日
電車の中で急に聞こえた



偽善者!!


という言葉を思い出したー



その時には、なんのことか分からず
わたしのことを言われてるのかな??
と全くピンと来ていなかったが
もしかして…と



偽善者という言葉を思った瞬間
天津織姫が隠したものが見えてきた。



最初に対話した時には
「わたしが引き受けた」という話から
私はてっきり、他に誰もおらず
天津織姫が手を挙げたものだと思い込んでいたが


どうやら、あの時引き受けた以外にも
「役割」があったという。


中でも、天津織姫は
死者たちを光、天界へと導く役回りを
本当は担当したかったそうだ。


しかし、他に手を挙げる神もおらず
であれば、力があるのはわたしなのだから
やらねばと、挙手をした。





「本当はやりたくなかった…」




ぽつりと聞こえた小さな声。



「大切な土地に、人間に、こんなことは
したくなかった。
でも誰かがやらなければならなかった。

だから、わたしは手を挙げた。
わたしがやったことは、結局…
偽善だったのだ。

いい人ぶっただけだ。」




…その部分を認めるのは、本当に苦しいし
一番触れたくない部分なのだと思った。



天津織姫は
他に手を挙げる神がいなかったというが
本当にそうだろうか?

別の視点から他の神たちを感じてみた。


すると、静かに微笑み、
それぞれが一身に背負う覚悟を決めていた。
そして、奇跡が起こることを祈っていた。


そんなイメージが見えたのだった。


そして、天津織姫がもし、手を挙げなければ
名乗り出ようとした神もいたようだった。




静かに見守ることを決めた神々もまた
苦しい葛藤の中にいたのではないだろうかー



そんなことを感じていると、突然





「お前らは何もしなかったではないか!!
この偽善者たちめ!!」




天津織姫の叫びが聴こえた…


偽善者という言葉は
自分にも周りにも向けた言葉であった。



私はこう、伝えたー



手出しをせずただ見守るということも
手を挙げるのと同じくらい覚悟がないと
できないこと。

そして、あの日、山・風・太陽・海・月
それぞれが精一杯の役目を果たしていた。


だから、本当はやりたくないのなら
人の為にと、飲み込まずイヤだと言っていい。


もう人の為にしなくていい。
人の為にならなくていい。
もっと自分を大切にしていい。



とー




天津織姫が語り始めた。


一人で背負って、勝手に周りを憎み
自分には力がないと閉じこもった。
自分も他者も偽善者だと、みな偽善の塊だと。


偽りの眼で見ていたのは、わたしだったー
だから大切なものが見えていなかった。


わたしは人間が好きだ。
そこに偽りはない。

だから、どうにかしたくてやってきたが
自分を差し置いて人の為に何かをすることは
もう、終わりにしよう。



もう疲れた…


しなきゃいけないことは何もない、
ただわたしがわたしで在るだけだ。




ありがとう。
これで本当の姿に戻れる。



みんな大好きだ。偽りなどと言って悪かった。
美しい地球で、この場所(金華山)を
見つけた時のわたしに戻ろう。



わたしは、もっと高く広い視点から
見守ることにする。

人間が好き故に、わたしはどこかで
見返りを求めていたのかもしれない。


それを手放し、今まで人間に注いできた分
わたし自身に、愛を受容を与えていくことにする。



そう、天津織姫は微笑んだー



これほどまでの深い愛を
見えない存在たちが注いでいてくれることを
そして、受け取っていることに
一体どれだけの人が気づいているだろうか?


これまで、与えてもらった分
頼りっきり、任せっぱなしではなく

私たち一人ひとりが、自分の足で立つ。

自分の足で立つとは
まず自分を愛し、己と向き合い、己を知り
魂を成長させていくこと。



それが本当の意味での復興なのだと思う。



つづく

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