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Windows 11の狙いとは?アップグレードできない機種があるのはなぜ?

米テック大手マイクロソフトが10月にリリース予定の新オペレーティングシステムWindows 11に関して、2本の分析記事を書きました。

1本目は、ビジネス+ITに寄稿したもので、Androidアプリが動作するようになるWindows 11には、反トラストやテック規制強化の動きを回避する狙いが込められていることを指摘しています。

Windows 11を従来のバージョンと比較してはるかに開放的な「クリエイターの場」に再構築し、Androidプラットフォームを取り込むことで、「独占的」との批判をかわし、さらにアップルやグーグルのようなエコシステムの閉鎖性や搾取性と開放的なWindowsを対比させることにより、「オープンで自由なプラットフォーム」というイメージを作り上げているのです。

最も重要なのは、Windows 11によって仮想敵のグーグルやアップルに対抗することで、「テック業界は大手の寡占状態ではなく、厳しい競争が存在する」との印象付けができることでしょう。また、クラウドでライバル関係にあるアマゾンのアプリストアとの相互開放は、巨大テック全体の寡占の印象を弱める効果もあります。「11」は、その開放性を強調することで反トラストの疑いやテック規制論をかわす、当局や世論に対するマイクロソフトの「答え」なのです。

これは、19世紀末の米国が、帝国主義列強に対抗するため採用した「門戸開放政策」を彷彿(ほうふつ)とさせるものではないでしょうか。列強帝国の閉鎖性を批判して弱体化させることで、国際社会における自国への支持と優位を作り出し、逆説的に「開かれた超大帝国」としての米国の権力独占状態へと導いていった姿に重なるものが見えます。

是非ご一読ください。

https://www.sbbit.jp/article/cont1/64538

NewsPicksで当記事についたコメントです。

https://newspicks.com/news/6005970/

Japan In-Depthに寄稿したもう1本では、Windows 11リリースに伴い、過去5年間に発売されたWindows10パソコンであっても、Windows 11にアップグレードできない機種が出るほか、Windows 10「Home」「Pro」などメインストリームのサポートが2025年10月14日をもって終了することに注目し、「セキュリティ、信頼性、互換性の強化」を理由としてWindows 11へのアップグレードを旧型機に拒むマイクロソフトの姿勢に疑問を投げかけています。

旧型機へのサポートの打ち切りは、Windows 11によるCPUの脆弱性解消やセキュアブート対応、ディスク暗号化などによるセキュリティ強化とは比較にならないほど、安全ではないパソコンが数億台単位で発生することを意味するからです。もはやセキュアではないWindows 10機を大量発生させることが、本当に「セキュリティ、信頼性、互換性の強化」をもたらすのでしょうか。

またマイクロソフトは、まだまだ使用に耐えるパソコンを大量に文鎮化することにより、環境ごみを増やし、同社が掲げるESGに反することにならないでしょうか。事実、マイクロソフトは「発生する廃棄物とほぼ同じ量の廃棄物を削減することで、廃棄物を実質ゼロにする」と宣言していますが、社内でこの目標が達成できたとしても、社外のユーザーの間に大量の廃棄物を発生させる環境破壊者になる恐れはないのでしょうか。

Windows 11プロジェクトを手ずから指導するマイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は、ESGの原則と顧客のセキュリティ強化を最重視し、Windows 11のアップグレード要件を緩和するか、Windows 10のサポート延長を真剣に検討すべきだと論じています。ご笑覧ください。

https://japan-indepth.jp/?p=60536

冒頭写真の出典は、マイクロソフトです。

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