春一番亭🐚乙楽

春一番亭🐚乙楽

最近の記事

都々逸(永訣)

 荒い呼吸の リズムが途切れ  眉間の皺が 消え去った  昨日聞こえた 「お休みなさい」  今の貴方に 返します  花の祭壇 笑顔の貴方  話の花を 咲かせよう  泣くも笑うも 最後の門出  見上げた空は 涙雨  たなびく煙 見えなくなった  向こうでケンカ するまいぞ  戻る部屋には 貴方の証  お疲れさまと かける声  思いこもごも 写真に向かい  両手合わせて 目を閉じる  お義母さん、お疲れさまでした。  下手な都々逸で恐縮ですが、贈らせて戴きます。  

    • 【短信】義母との永い別れ

       どうも、乙楽です。長いこと投稿が途絶えて申し訳ありません。  タイトル通り、今回はとても重い話なので、読まれる方は相応の準備をお願いします。  ポストでも告知した通り、義母が病気療養の後に亡くなりました。  83歳という年齢は、今は長寿とは呼べないかもしれません。しかし、何年にも渡って幾度も病魔と戦い続けた義母を、私は誇りに思います。苦しむことなく、安らかな最期を迎えられたことが、悲しい中ながらも一つの救いでした。  私は、39歳で家長と呼ばれる立場になりました。  2

      • 或る男の晩酌【バータイム編】

         ここ数日で、一気に春めいてきた。  若干の花粉症持ちとして、暖かくなるのは鼻炎と表裏になるから複雑な気分だが、桜が咲く頃には鼻炎も治まるので、やっと春を楽しめるようになる。  ちなみに、桜が好きか、と聞かれれば「割と好き」といったところか。満開の姿は立ち止まって見惚れるし、散り切る直前の葉桜も風情があっていい。  何故、一番に推せないのか、って?年に一度、数日しか楽しめないからだ。儚いものは美しいが、心を移すには、いささか辛い。そういうものだ。  話が逸れてしまった。そう

        • 『或る男』シリーズ第一弾、完結

           はいどーも、絶賛忙しない最中の人、乙楽です。  忙しいのに何noteなんぞを書いてるんだ、と思う方、何かと忙しないのは確かなのです。同時に「待ち」の時間も多く、中途半端な時間にチョコチョコ書いています。  まぁ、現実逃避したい気持ちも若干ありますが。それはさておき。  今回は『或る男』シリーズ第一弾がようやく書き上げられたので、軽く触れたいと思います。  以前にも書いたとおり、このシリーズは私小説を書いてみたいという私の思いつきから始まったものです。読み手の皆さんがどう感

        都々逸(永訣)

          或る男の夕食

           やってしまった。  昼飯を食い、音楽を聴きながら食休みをしたつもりが、気付いたら寝入ってしまい、目が覚めたら間もなく午後5時。私は何てことをしてしまったのだろう。勿体ない、その言葉が頭の中を駆けずり回っている。  最近、このパターンの昼寝が多くなった。巷では「ドカ食い気絶」とも呼ばれる血糖値スピン。炭水化物を摂取することで急激な血糖値上昇が起き、沈静化させるために眠気を呼ぶ現象。歳を重ねるごとにその傾向は強くなってきているみたいだ。  仕事中にそれが起きないよう、普段は炭水

          敬意と、距離感

           どーも、前回のアニメレビューが伸び過ぎ、嬉しさよりも恐怖を感じてしまう小心者、乙楽です。  現在、諸事情あって色々と大変な毎日が続き、寝付けない日々が続いています。そんな夜は文章でも書いて落ち着こう、といったところです。  今回は、以前から少し思うところがあったことをつらつらと書いていきます。  上から目線で物を言う、人の言葉に耳を貸さない、会ったばかりなのに不躾なほど馴れ馴れしい…。  たまにそんな人を見かけます。私の周囲にもいますし、過去にも何人か、公私でそんな人と出

          敬意と、距離感

          『狼と香辛料』アニメリメイクレビュー

           私の心を揺さぶる、アニメ作品がありました。  その物語は中世ヨーロッパに似た世界に、ほんの少しの幻想を混ぜ込んだ、商売と経済のお話。そして夫婦漫才のようなやりとりの間に紡がれる、意地と愛のせめぎ合い。魅了された人が多いこのおとぎ話は海をも越え、遥か彼方の土地の人の心をも掴んだそうです。(註)  狼と香辛料。  不釣り合いな言葉が組み合わさったタイトルで知られるこの作品は、原作、コミカライズ共に無事完結を果たし、今では次の世代の物語が紡がれるまでに大きなコンテンツとなりました

          『狼と香辛料』アニメリメイクレビュー

          寝なさい。

           どーも、ギックリ腰をやってしまい、身動きできないアラフィフ、乙楽です。本気で痛いです。  今日は有給を貰ったのですが、新年度で職場がバタバタしているので、午前中にリモートで職場に指示を出していました。ここからはひたすら痛みが引くのを待つしかない状態です。  さて、今回は少しシリアスな話です。  皆さん、睡眠時間はちゃんと取っていますか?  よく「徹夜した」とか「2日くらい寝てない」を自慢話、もしくは武勇伝のように話しているのを目にします。仕事や趣味で寝る暇がない、不安感な

          【短信】また変なものを始めた。

           どーも、乙楽です。  前回の投稿、一体何を始めやがったんだと訝しむ人も多いでしょう。まぁ、いきなり論文めいた文章がポコッと湧いたら、そりゃそう思うでしょうね。はい、「また」悪ふざけです。  3月28日、私の推しであるVTuber「儒烏風亭らでん」さんが配信中に「ラデニウムはあります」と言い放ったので、ではそれをテーマに論文でも書いてみようか、といったところです。  これでも何のこっちゃ分からん、と言う人もいるでしょう。そこを話し始めると普段のnote投稿の何倍ものテキストが

          【短信】また変なものを始めた。

          「ラデニウムの実存と生成」(仮)序文

          ※これは特定の方々へのジョークですので、くれぐれも真に受けないようご注意ください。※ 1.はじめに  令和5(2023)年9月、とある場所から新元素と思われる物質(便宜上、そう呼称する。)が発見された。発生源と思われる存在から「ラデニウム」と仮称された物質は、多数の人間に幸福感を与える効果があるとして認知され始めた。  しかし、この物質の実存証明は困難を極め、実在すら疑わしい、とも言われていた。大きさ、質量共に観測結果の差異が生じることから、人間の想像が生み出した概念の域を

          「ラデニウムの実存と生成」(仮)序文

          久々に都々逸をば

           美味い不味いを 言う野暮よりも  ごちそうさまで 終わりたい  梅は咲いたぞ 桜はまだか  花見待つ身を 包む雨  月見花見で 一献どうぞ  それとも目当ては この団子?  出会い別れを どれだけ見たか  我の懐(ふところ) 雨宿り  桜咲いたよ 宴の合図  酌む盃に 花ふわり  散る花びらを 眺めてしばし  おつかれさまと 声かけて  書いてるうちに、まとまらなくなっちゃった。  まぁ、こんな日もある。

          久々に都々逸をば

          【短信】人はままならない

           どーも。名古屋帰りでヘロヘロの乙楽です。  週末から今日まで、名古屋に行っていました。旅行ではなく、身内に絡むゴタゴタの処理です。嫁の両親に関わることなので詳しくは書きませんが、過去一シビアで厄介な案件でした。そしてこの案件、まだ色々と続くので油断はできません。  今回、一連の中で感じたことは「人はままならない」ということです。人間関係も、組織とのやりとりも、個人的な感情が絡むことでしっちゃかめっちゃかになります。今回の案件も、基本的にはそこが発端です。  進めていた話を

          【短信】人はままならない

          【短信】ご飯が美味しい

           どうも、乙楽です。  前口上、すっかりなくなりました。あれ考えていると、その後の本筋を見失いがちなので、どうしようか考え中です。  実はここ最近、色々ありまして若干メンタルが不安定です。と言いますのも、私は数年前にうつ病と診断されまして、現在は一応寛解しているのですが、状況や気候変化で不安定になりがちです。  これをカミングアウトするとよくあーだこーだ言われますが、なっちゃったものは仕方ないし、無かったことにはできません。極力フラットに話しますので、一体験談としてお聞きく

          【短信】ご飯が美味しい

          或る男のディナー

           ムシャクシャしている。とてもムシャクシャしている。  思えば朝からツイていなかった。  駅まで着いて定期を忘れたことに気付き、乗りたい電車に乗れなかった。  職場ではクレームとも繰り言ともつかぬ高齢者の話に一時間付き合わされ、昼飯を食いそびれた。  挙げ句の果てに、深夜のお楽しみだった推しの配信がリスケになるという投稿がたった今SNSに流れてきた。  もうイヤだ、私が一体何をした?  品行方正…とは言わないまでも、最近は外での飲食を控え、真面目に仕事もやってきた。私なりにコ

          或る男のディナー

          「或る男」裏話

           唐突に何かを始める男、乙楽です。  前回、前々回と投稿した「或る男」ですが、またまた実験作です。今回は「私小説」を私が書いてみたらどうなるかをやってみています。  ここではその裏話を少しご紹介します。  私小説は、一度試してみたいジャンルでした。反面、どこまでをフィクションにしてどこまでをノンフィクションにするか、言い換えればどこまで身の恥を晒すかの判断がつかず、試せなかったものでもあります。  この一連の作品、創作にあたって心掛けているのは、淡々と書くことです。下手な盛

          「或る男」裏話

          或る男の昼下がり

           マーケットから帰ると、車から買い物袋を取り出した。指に食い込むビニール袋の持ち手を一度かけ直し、二つほどの袋をシートから持ち上げる。  最近はエコだ何だと、有料のビニール袋に変わったが、私は頑なに購入を続けている。生ゴミをまとめる、冷蔵庫に収納する野菜や魚を入れる、こんな便利なものはない。そもそも、数百円のトートバッグを買って一年かそこらで使い潰すくらいなら、買い物のたびに数円のビニール袋を購入する方がよほどリーズナブルだ。エコの推進者には申し訳ないが、私は利便性を取らせて

          或る男の昼下がり