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10月1日、モーツァルトに間違えられ、ベートーヴェンより評判を取った、もうひとりのウィーン古典派、エーベルル!

ピリオドにも挑む、スイス、チューリヒを拠点とする、ベテラン・クァルテット、カザル四重奏団の演奏で、ベートーヴェンのライヴァル、エーベルルの3つの弦楽四重奏曲。

アントン・エーベルル(1765-1807)。
ウィーンで生れ、モーツァルトの下で研鑽を積んだ(師の死後も、モーツァルト一家と交流を持っていた... )、生粋のウィーン古典派、エーベルル... 1796年、名立たる作曲家たちが務めた、お雇い外国人、ロシアの宮廷楽長に招聘され、サンクト・ペテルブルクで活躍!帰国すると、ピアノのヴィルトゥオーゾとして、作曲家として、ウィーンの音楽シーンを賑わせ、若きベートーヴェン(17770-1827)のライヴァル(1805年、かの「英雄」とともにエーベルルの交響曲も初演され、「英雄」よりも評判になった!)に...

というエーベルルが、ウィーンへ一端帰国していた頃、1801年に作曲された、3つの弦楽四重奏曲(世界初録音!)。ハイドンからモーツァルトへとリレーされ、花開いた、ウィーン古典派の弦楽四重奏曲... その成果をしっかりと受け継ぐエーベルルの弦楽四重奏曲(エーベルルの作品は、モーツァルトの作品と混同されたとのこと、わかる...  )。一方で、その音楽、19世紀を迎え、新たな時代がチラチラと顔を覗かせるようなところも...

奇しくも、同じ年、ベートーヴェンが最初の弦楽四重奏曲集、Op.18(1番から6番)を出版。その音楽を思い起こすと、なかなか興味深いエーベルルの音楽... 何と言うか、よりウィーンらしいのです。ヨハン・シュトラウスを遠くに見据えるような、民俗調の甘やかさ?で、そのウィーンらしさに19世紀が香り出し... ローカル性からこぼれ出すロマン主義?

そんなエーベルルの3つの弦楽四重奏曲を掘り起こす、カザルQ... ベテランならではの安定感が、エーベルルの音楽をより豊かに響かせて、そこに籠められた様々な記憶と予兆、丁寧に紐解くかのよう... またピリオド・アプローチのシャキっとしたサウンドが、古典派の端正さ、しっかりと煌めかせて、惹き込まれる。

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