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8月31日、メシアン、アメリカをゆく。アメリカっぽいメシアンがおもしろかった。

ピアニストとしてではなく、指揮者、ジャン・フランソワ・エッセールによる、自身が率いる新アキテーヌ室内管、ジャン・フレデリック・ヌーブルジェのピアノで、メシアンの『峡谷から星たちへ... 』。

1970年、アメリカ独立200周年(1976)に向け、オーケストラ作品を委嘱されたメシアン。翌年には作曲をスタートさせるも、その次の年、1972年に、アメリカ、ユタ州、シーダー・ブレイクス国定公園、ブライス・キャニオン国立公園、ザイオン国立公園などを訪れ、アメリカ西部の大自然が創り出す独特にして圧倒的な風景から強いインスピレーションを受けることに... そうして1974年に完成したのが、『峡谷から星たちへ... 』。

オーケストラとピアノで織り成される、3部、12楽章。で、1楽章からは風の音(ウインドマシーン)が聴こえ、まさに西部!が、メシアンです。西部劇風にはなり得ない... 砂漠や峡谷に刻まれる特異な線、形、鮮やかな色をそのまま音にし、もちろん、鳥が囀り、また夜空には星々が瞬き、メシアンならではの語法で、圧巻のサウンド・スケープを描き出す!

という『峡谷から星たちへ... 』、どことなしにアメリカっぽさも聴こえてくるのかなと... ピアノには、時折、ジャジーな雰囲気が漂い出すところがあり、オーケストラにはコープランドを思わせるフロンティア感が広がり、映画音楽風の表情も見て取れる?いや、独立独歩のメシアンの、アメリカっぽさがおもしろい!それを楽しんでいる風情もある?

そんな『峡谷から星たちへ... 』、エッセール+新アキテーヌ室内管、ヌーブルジェのピアノで聴くのだけれど... この大作、大オーケストラで、バキーンと鳴らすイメージがあったものだから、"室内"という密度で、チーム・フランスらしいエスプリ感じさせるサウンドで、明朗かつポップですらある仕上がり、新鮮!いや、こういうアプローチもあったかと目から鱗... そんなシン・メシアンに魅了された。

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