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葛藤抱える新卒1年目、離島で働く【わたし、島で働く。】

「大人の島留学」は、島での仕事を中心としたお試し体験移住制度です。
現在、「大人の島留学では具体的にどのような仕事があるの?」というお問い合わせをたくさんいただいております。そこで、大人の島留学編集部が実際に仕事現場に行き、仕事の様子や仕事への思いをインタビューしてきました。多種多様な大人の島留学生の仕事をご紹介する企画『わたし、島で働く。』をお届けします。

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 こんにちは。大人の島留学編集部です!
今回は、海士町役場地産地商課に所属し、しゃん山(※)と農家さんの元で働く大江麦(おおえ みのり)さんにお話を伺いました。
 大江さんは、現在、しゃん山で野菜の集荷・品出し・接客を行う傍ら、毎週月曜日と金曜日はMüller's Farm(ムラーズファーム)で農作業やそれに関わる事務作業に従事しています。また、外国語を母語とする農家さんと役場の間に立ち、通訳も行っています。

※しゃん山・・・海士町役場地産地消課が運営する、海士町の旬の野菜や加工品、お土産品を取り扱うお店。島で取れた野菜以外にもCAS商品やお弁当、パンなど海士町中から様々な品が集まっている。キンニャモニャセンター別棟1階。

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お話を聞いた人:大江麦(おおえ みのり)さん
23歳、社会人1年目。兵庫県出身、神奈川県育ち。関東の大学に進学後、アメリカ留学、日本の地方部でのボランティア活動を経験する。大学卒業後、新卒でIT系の会社に勤めるが、2ヶ月で退職。その後、3ヶ月のニート期間を経て、2020年9月から大人の島留学生として島根県隠岐郡海士町でのお試し移住生活をはじめる。

1.大江さんのお仕事

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ー大江さん、今日はよろしくお願いします!早速ですが、大江さんのお仕事について教えてください。
大江:自分の仕事は大きく分けて2つ、しゃん山での野菜の集荷・品出し・接客とMüller's Farmでの業務です。
農場での業務は、それが意外と収穫だけじゃないんです。まず朝イチで農園にいるヤギたちの様子を見て、水を変え餌をあげます。ヤギがいるのは、農地拡大のために伐採した木とか雑草を食べてくれて、それがふんになり肥料になるからです。循環有機農法ですね。その後、鶏小屋に入って、鶏小屋の設備の掃除、蓋を開けて卵を数えます。その後、野菜の収穫に取り掛かることもあれば、地域の学校にもヤギがいるので餌を買ったり、電気網が壊れていないかなどの点検も行います。

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また、木を伐採して薪ストーブの薪を割ったりもしますし、補助金申請に関係する事務作業もあります。さらに、これがメインになるんですけど、役場と農場主さんの間に入って通訳することもあります。農場主さんは日本語が母語でなく、役場側も英語での対応を十分に行うことが難しいため、意思疎通が難しいときに自分が間に入って細かいところを伝えたりしています。

ー英語力を活かして、お仕事をされているんですね。次の質問からは、大江さんの大人の島留学をするきっかけやお仕事をされていて感じることについてお伺いします。

2.インタビュー① 新たな一歩

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ーまず、そもそも大人の島留学をするきっかけはなんでしたか?
大江:知人のFacebookの投稿を見て、役場職員さんに連絡を取ったのが元々のきっかけです。
自分は大学3、4年の時に周りと同じようなストレートな就活をしたくないという思いを持っていました。大学4年の6月に「就活しない」と決めて、就活を終わらせてからはボランティアに参加したり、子供キャンプのリーダーをやったりと、大学4年生の後半は「人のサポート」を中心に活動していました。
しかし、あるときを境にそれに疲れて、もっと自分と向き合うことにしました。そんな中で、奈良県のとある村に行き、数日間だけ地域産業の見学に行きまして、その時、役場職員さんに、「(経験やスキルがないまま)いきなり地方とかに来るのは難しいかもよ。何ができるの?」と言われました。そう言われた自分は「じゃあ、働くか」と思いもう一度、就職活動をしてIT系の会社に内定をもらいました。内定が出た後に、インドへ行って放浪したりもしました。その後、2020年4月に入社したんですけど、2ヶ月目に「この仕事は自分じゃなくていいな」と思うようになり退職しました。退職後は、精神的な疲れもあって、実家で3ヶ月引きこもり生活を送っていました。
その引きこもり期間で、知人のFacebookに載っていた大人の島留学募集の投稿を見て、役場職員さんに連絡を取ったのが始まりです。

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ーその投稿はどのような経緯で見つけたんですか?
大江:それは、大学時代に地方を巡っていた際に、西ノ島で行われた短期インターンに参加した時のご縁からです。そして、引きこもりの自分を律したいという思いと、大人の島留学制度が面白い取り組みだなと感じたので、そろそろニートをやめようと思い、大人の島留学生として海士町に来ることに決めました。

ー葛藤も抱えながら、自分を変えたいと思って島に来たんですね。大江さんは、どのようなきっかけがあって今の職場で働いているのですか?
大江:島のことを知る上で「見聞きしただけの情報では判断したくない、自分の目で確かめたい」と思っていた時に、地産地商課からの情報が来たのがきっかけです。自分は、第1次産業を知ることでより、その土地が見えてくるというか、理解できるのではないかと思っています。地元の人とお話しできる機会があり、また手作業や体を動かす仕事をすることで、この島の良いところも悪いところも含めてリアルなところが見えてくるんじゃないかと思って、地産地商課で働くことになりました。

3.インタビュー② 「とにかく、やってみないとね」

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ーここからは、大江さんの仕事に対する思いについてお伺いします。お仕事はどうでしょうか、”リアル”は見えてきますか?
大江:最近、しゃん山での仕事がすごい楽しいです。なぜかというと、商品の背景とかも結構知ることができるからです。生産者さんのことやどういう仕組みでこの商品ができているか、海士町の人の生活ぶりなどを人とのコミュニケーションを通して知っていくのが面白いと感じています。
また、しゃん山と大漁は、働いているみなさんも役場の職員さん、パートの方、自分みたいな大人の島留学生など多様な立場の人が集まるお店は初めてです。お客さんとたくさんお話ししますし、みんな顔見知りです。自分からお客さんに対して「これってどういうふうに使うんですか?」と話しかけることもあります。
ここまで、ハートフルな商店ってなくないですか?(笑)

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ー確かに、私もそう思います(笑)月曜と金曜の農場での業務はどうですか?
大江:翻訳が100%じゃないところが、新しいことでやりがいでもあり難しさでもあると感じています。「もっとこういう単語知っておけばよかった」ということも多々あります。農場主さんと役場の職員さんのやりとりの間に立って通訳するときには、お互いの思いを汲み取ることや通訳する上での言葉遣いなどに気を配っています。
農場主さんは、13年間海士町でファームを続けています。それゆえ、こだわりもあるので譲れないところもあり、役場と意見が異なるときもあるそうです。そこで、自分が入ったところでお互いが会話をする環境を整えることに貢献できたと思います。

ーしゃん山でも農場でも、知識・経験の広がる幅が多いなあと感じますね。
大江:でも、まだ、一緒に働かせていただいている役場の人の仕事に対する思いや本音の部分は知らないところもあります。でも、海士町のために頑張るという強い思いがある人たちと働いているから楽しいんだと思います。
また、逆に、自分からSNSでの広報や店舗業務の改善点の提案をすることもあります。手書きでやっている仕事の電子化を提案したときに、「考えてなかった、じゃやってみるわ」と自分の経験が役に立つこともありました。お互いがこう、足引っ張るんじゃなくて助け合って、より良くしていこうとしているなという感覚はあります。そこが、やりがいや仕事において大事なことだと思います。

ー他にも大江さんのやりがい、モチベーションになっていることはありますか?
大江:「とりあえずやってみる」が以前よりできるようになったことで、ちょっとは成長しているのかな?と感じることがモチベーションになっています。
今まで、自分は職場の人にうまく自分の意見を提案したことがあまりありませんでした。さらに、自分から提案するだけじゃなくて自分で行動して少しでも周りの人たちからの見られ方を変えること、自分の課題解決能力が徐々に上がってるのではないかと思います。周りとのコミュニケーションもそうです。とりあえずやってみるという点で、ちょっとは成長している?のかなというのがモチベーションですね。
(成長っていうのは自己評価でしかないしわからないですけどね…)

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ー最後に、これはみなさんに聞いていますが、「島」という比較的小さなコミュニティーで働く中でどのようなことを意識するようになりましたか? 
大江:自分の意見を言うことじゃないですかね。言わない限り飲み込まれると思います。うーん、自分の意見というか、行動を起こしてからなぜそれをやったかを説明できる自信と根拠が必要だと思います。ことを起こす時、なんとなくやっていてもいいとは思いますが、自分の中に信念が必要だと考えるようになりました。
また、個性を持っていることも大事だと思います。海士町は特に個性が強い人が多いと思うので、「自分はこういうひとです」っていうアピール、自分を発信することが必要だと感じています。ですが、別に、無理に急ぐ必要はないと思います、じっくり発信していく人もいれば、最初から飛ばす人もいると思いますしね。

4.おわりに

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今回は、海士町役場地産地商課で働く大江さんにお話を伺いました。自分を変えたくて大人の島留学を始めた大江さんが、島民さんとの関わりや仕事を通したトライアンドエラーの中で少しずつ前に進んでいる、そんな様子が伝われば幸いです。また、大人の島留学は学生だけでなく大江さんのような新卒者、若手社会人の皆さんのチャレンジを応援しています。
大江さん、貴重なお時間と素敵なお話ありがとうございました!

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