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月がきれいですね。#シナリオ(案)   作画松本夕椰

https://note.com/komugi1992/n/ne3acd6771790

結婚して、10年がたった。
共働きである為、すれ違いは多い。
今度の結婚記念日は、どうして過ごそうか?
ワンコがいるので、旅行には行かない。
初めてのデートの、再現はどうだろうか?
出会った頃のときめきを取り戻す。

「ああ、そうだ!1月の長いお休みは、二人で初めてデートしたコースを再現するのはどうだろうか?」
「え、なぜ?」

「なんとなく。
昔、よく通ったお店はまだあるかな?とか思って。」
「ふーん。」

「そしてさ。昔みたいに待ち合わせして、
お互いの事知らないふりして、会うのさ。」
「なんで。」

「ごっこ遊びさ。お母さんごっこと同じ。
知らないふりごっこは、どうかな?」
「いいけど。前によく通っていた店があるか、
確かめたい気持ちもあるから。」

駅で、待ち合わせた。
バラバラに家を出て、各自好きな様に過ごしてから、
待ち合わせ場所まで、各自で出かける。
長い間、降りなかった駅。

商店街をずっと奥に歩いて行って、少し大きな通りを渡り、
又、アーケードが続く商店街を歩いて行く、そして、路地に入り、
少しクネクネ歩いて行くと、そのお店はある。

学生時代に、よく二人で行った店。
表には、小さな看板があって、
満月と書くけれど、違う読みかただった。

オーナーは、少し年配の人で、
お店は、和洋折衷の骨董品が置いてあった。
古い足踏みミシン、なんだか年代のわからない和食器。
表は、カウンターで、少し奥まったところには、ソファが置いてあった。
そのソファのところに陣取り、コーヒーを頼んで、今日あった事を話す。

誰も、来ない。

たまには、カレーを頼んだり、おつまみを頼んだりする。
ここで、初めて食べたピータン。同じだろうか?

駅についた。カノジョはまだ来ていない。
遅れて来た、彼女。

「ごめん。久しぶりにきたら、駅がきれいになって違っていた。」
「違うよ。初めてデートするんだよ。」
「あ、そうだったね。」

「ごめん。遅れた。待った?」
「大丈夫。今きたところさ。」

あの時も、彼女は遅れて来たっけ。

”わー。駅前のおまんじゅう屋さん、一緒だ。変わらない。”

「どこ行く?」
「ブラブラ歩こうよ。」
なんだか、懐かしさが込み上げてくる。
お漬け物屋さん、変わらない。
漫画喫茶は、ネットカフェに変わっている。

「ね。お父さんが結婚に反対してごめんね。」
「え、いや、此方こそ採用試験に落ちて、安定した生活させられずに、
ごめん。」

二人して、笑った。
今日初めてデートする設定なのに、、。

大通りに突き当たる。
大通りには、土産物店がずらりと、並んでいる。
大通りを、横切って又、アーケードの商店街を歩いて行く。

「ピアノは、小さい時から習っているんですか?」
「はい、3歳から習っているんです。」

「へぇ。今度聞かせてもらえませんか?」
「いいですよ。学校の練習室に、来ますか?」

「はい。行きます。何曜日?」
「じぁ、金曜日で。」

又、二人で笑った。

10年前に、同じやりとりをした。
とうとう、例のお店のある路地に、入った。

まだ、あるだろうか?
マスターは?


続く。


最後まで、読んで下さってありがとうございます! 心の琴線に触れるような歌詞が描けたらなぁと考える日々。 あなたの心に届いたのなら、本当に嬉しい。 なんの束縛もないので、自由に書いています。 サポートは友達の健康回復の為に使わせていただいてます(お茶会など)