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【31.楽器のこと🎹】ペダルのこと

楽器を購入する際に気になることの一つにペダルの問題があるかと思われます。またピアノをはじめられてから「いつになったらペダルを使う曲が弾けるのだろうか?」と疑問に思われることもあると思います。そんなペダルについてお話しします。

ピアノの演奏においてペダルの役割は大変大きなものがありますが、なかなかペダルに特化した学習をされてきた方は少ないのではないでしょうか?ペダルの正式な名称もわからない、的確な使用方法もわからないなんてことも多いでしょう。「音の余韻を広げて長く伸ばすことのできる魔法のペダル」というような曖昧なことくらいしかわからないという方もおられるかもしれませんね。


グランドピアノのペダル写真

グランドピアノには多くの場合3本のペダルがついています。現在では古いピアノで2本のペダルのものもあったり、ファツィオリのグランドピアノでは4本のペダルもありますが、大抵のグランドピアノでは左からシフトペダル、ソステヌートペダル、ダンパーペダルと名前がついており、それぞれに効果が違っています。1番使用頻度の高いペダルが③のダンパーペダルです。このペダルを使用して曲が弾けるようになるのを目標に頑張っていた幼い頃を思い出します。このダンパーペダルは、普段弦を押さえているダンパーを弦から離す役目を持っています。弦を押さえている間は弦自体が振動しないので音の広がりはなく余韻もそれほどではありません。しかしダンパーペダルを踏むことによってダンパーが弦から離れると弦が振動を起こし長く音が伸び余韻が広がっていきます。次によく使用するのが①のシフトペダルです。このシフトペダルを使用すると、弦を打弦するハンマーの部分が全体的に右側に少しスライドします。普段3本の弦を打弦しているハンマーがこのペダルを踏むことにより右側にスライドして2本の弦だけを打弦するようになります。音の効果としましては、3本の弦の打弦から2本の弦の打弦になるのですから、音量が少なくなります。音量の変化だけではなく、音色も微妙に変化します。優しく、ソフトになります。このシフトペダルは踏み込む加減を調節できますのでハンマーが打弦する場所を微妙に変化させることができ様々に音色を変化させられます。このシフトペダルとダンパーペダルは併用することができます。最後に生涯で一度使用するかどうかといったペダルになりますが、それが②のソステヌートペダルです。このペダルはダンパーペダルの効果と似ています。ダンパーペダルが全ての弦に効果を発揮するのに対して、ソステヌートペダルは打弦した直後に踏むことにより、直前に打弦した音のみに効果を発揮します。ですから他の音は普段のダンパーペダルを使用していない時の音と同様に演奏することができます。効果を発揮している音はソステヌートペダルを離さない限り音を保持し続けます。またソステヌートペダルもダンパーペダル、シフトペダルとの併用が可能です。

次にアップライトピアノのペダルについてお話しします。アップライトピアノについても3本のペダルがついていることが多いですね。しかしながら、アップライトピアノとグランドピアノのペダルでは名称と機能に違いがありますので注意してください。
グランドピアノの
①シフトペダル
②ソステヌートペダル
③ダンパーペダル
の位置に相当するアップライトピアノのペダルは
①ソフトペダル・・・グランドピアノと名称が違っているが、機能は同じ
②マフラーペダル・・グランドピアノと名称も機能も違う別物
③ダンパーペダル・・・グランドピアノと同様の機能
です。
マフラーペダルとは弦とハンマーの間にフェルトのマフラーを垂らして間接的に打弦する機能のペダルです。このペダルは踏み続けなくても大丈夫なような構造になっています。夜間練習などのために近隣騒音対策としての機能なので日本独自のものだと聞いたことがあります。現在ではアップライトピアノでもグランドピアノと同様のソステヌートペダルになっている楽器もあります。


最後に電子ピアノのペダルについてお話しします。電子ピアノについては一括りにお話しできない部分が多いです。電子ピアノそのものが鍵盤数の違いから設置用の脚があるものかどうか、価格帯によっても機能が様々ですので、ペダルがついているかどうか、後付けできるのかどうか、アコースティックピアノに限りなく近い機能が備わっているかどうかも様々ですね。ですから一般的なお話になってしまいますが、これからピアノをはじめられる方には是非ダンパーペダルの機能だけは初めから準備して欲しいと思います。グランドピアノの部分でお話しした通り、ダンパーペダルは1番使用頻度の高いペダルです。この機能を使って曲を演奏できればかなり表現の幅が広がり上達につながっていくでしょう。今使わないから後でとおっしゃらず、楽器購入の時一緒にお考えください。YAMAHAやKAWAIなどから販売されているような高価格帯の電子ピアノであれば3本のペダルがすでに完備されていると思いますので、存分に機能を発揮されるように練習していきましょう。電子ピアノのペダルで一つだけ注意して欲しいことは、「最大同時発音数」ということでしょうか。アコースティックピアノにはない数値ですが、電子ピアノにおいては最重要でもありませんが、少々気にしてもいいかなという数値です。最大同時発音数というのはデジタルピアノで同時に発音できる最大の音数のことです。デジタルの宿命かもしれませんが、同時に発音できる音の数に制約が生じるわけですから、アコースティックピアノとは曲の仕上がりに違いが出てきます。もちろん練習にも違いが生じます。最近の高機種では256音という楽器が多いのでそれほど問題にしなくても良いかもしれませんが、128音の楽器ではショパンの幻想即興曲やテンポの速いエチュードを弾くと発音数が足りなくなり音切れを起こすようですので、これが当たり前の状況になってしまっては問題です。このレベルの曲を弾く方、弾けるようになりたい方、すでにそのレベルに達しておられる方は注意が必要でしょう。

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参考文献  
株式会社ヤマハミュージックメディア
堀江真理子 ペダルの練習朝Ⅰ 〜必ず上手に踏めるようになるペダルメソード〜

株式会社ヤマハミュージックメディア
堀江真理子 ピアノ・ペダルテクニック基礎編〜ピアノの美しい響きと表現のために〜

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