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【45.演奏してみよう🎶】様々な演奏の仕方③指使い

今回は指使いについてのお話です。指使いと一言で言いましても様々です。「こんな時はどうやって弾いたらいいの?」という場面に出会した時にヒントになるような基本の指使いを紹介したいと思います。


譜例1

このような場合、何も指示がなされていない場合、ペダルを使用して音が切れないように初めのドからソ、そして1オクターブ上のソまでをなめらかに演奏するでしょう。もしかしたらペダルを使用しなくてもドを1指、ソを2指で弾いた後そのまま1オクターブ上のソを5指で弾くことのできる方もいらっしゃるかもしれませんがそんな大きな手を持った方、あるいは2指から5指がよく開く方はなかなか多くはないと思います。そこでペダルを使用しなくてもこの譜例1を音を切ることなく滑らかに演奏することができる方法を紹介します。


譜例1の運指

このような指使いが書かれているのをご覧になられたことがある方もいらっしゃるでしょう。カッコで繋がれた51の運指です。この運指の場合、ソの音を5指で弾いているうちにソを鍵盤から離すことなく5指から1指に移動させます。譜例1では5→1ですが、その他の譜例では1→5など一旦いずれかの指で弾いているうちに音が切れないように鍵盤から指を離すことなく別の指に置き換えるという運指が見受けられます。大抵の場合かっこで繋がれていますので、このような表記がされていれば、説明のような演奏の仕方になります。


次に紹介する運指は、ピアノを始められて間もない方や初心者の方には見かけたことがないと思われるものかもしれませんが、こんな方法もあると知っていれば、何かの役に立つかもしれませんので、知識として習得してください。

譜例2

和音の演奏の際に時々見かける運指です。たくさんの音を同時に演奏する和音の場合、「指が足りない!」という時がございます。また音と指の数が合っていても大変演奏しにくい場面がございます。そんな時譜例2の運指のように表記して、2つの音を1指で一緒に演奏するという方法を取ります。譜例2ではラシの音が譜例1の時とは別のカッコで繋がれて表記されておりますので、ラシの2つの音を1指で同時に演奏します。
平井康三郎作曲 幻想曲「さくら さくら」のTempo Ⅰの左手の(太鼓のように)と表記された箇所では上記のような記号はございませんが、私はいつもソラの2つの音を左手1指で演奏しています。それが正解かどうかは表記されていないことをするのですから正解ではないかもしれませんが、テンポを保ってミスなく歯切れ良く演奏するためにたどり着いた私なりの奏法です。この箇所のように指使いの指示がなされていない場合ですと工夫の余地はあると思っております。

普段なら隣同士の音をいずれかの指で同時に鳴らしてしまうことはミスタッチと言われる所ですが、和音の演奏時にはこのような場面がございますので、ミスタッチと思わずに是非指を有効活用してください。


次は音階の運指についてお話しします。

長音階の運指

ハ長調の運指(右手の場合)は
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド → 1 2 3 1 2 3 4 5
ド シ ラ ソ ファ ミ レ ド → 5 4 3 2 1 3 2 1
ということはよーくご存じだと思います。ではヘ長調もその運指で演奏できるでしょうか?また変ロ長調ではいかがですか?
♯や♭のついていない調=ハ長調でできた運指はヘ長調や変ロ長調では微妙に異なる運指になっています。基本的には同じようなものと捉えて行くことができますが、
ヘ長調(右手の場合)では
ファ ソ ラ シ♭ ド レ ミ ファ → 1 2 3 4 1 2 3 4
ファ ミ レ ド シ♭ ラ ソ ファ → 4 3 2 1 4 3 2 1
になります。ハ長調が1231と進むのに対してヘ長調は1234と進みます。これはハ長調が123まで進んで次のファの音で1を使用するのと同じようにヘ長調で123まで進んでシ♭を1で演奏するのが難しい為です。皆さんの1指は他の指に比べて短いと思いますが、その短い1指でファソラまでを演奏して少し遠くにある黒鍵のシ♭を演奏するのは酷な状況ですね。そういった不具合を避けてヘ長調の場合、シ♭は4指で演奏します。
同様に考えると変ロ長調(右手の場合)が
シ♭ ド レ ミ♭ ファ ソ ラ シ♭ → 2 1 2 3 1 2 3 4
シ♭ ラ ソ ファ ミ♭ レ ド シ♭ → 4 3 2 1 3 2 1 2
と演奏するのがお分かりいただけると思います。
音階ではハ長調の運指を基本として演奏しますが、その調固有の音の並びがございますので、その調固有の音の並びに従って不自然な運指にならないように工夫がされています。その工夫の為に左右同時に音階を演奏する際に、頭の中が混乱してしまうようなことがあるかもしれませんが、ゆっくり、繰り返して練習することで克服していきましょう。

音階の次は、半音階です。

半音階の譜例と運指

半音階という音の並びがございます。半音階とは呼んで字のごとく、半音づつ進んでいく音階です。上行形と下行形がありますが、楽譜に起こすと上行形では♯を、下行形では♭を使用して表記します。鍵盤上での動きを見て見ますと、
上行形では あ い う え お か き く け こ さ し す
下行形では す し さ こ け く き か お え う い あ
の順に進みます。鍵盤上で見ているだけでは半音づつ進むだけですからさほど大したことには思えないかもしれません。がこれを両手で演奏するとなるとやはりイライラポイントが増えていきます。(上記の運指は全音出版社「全訳ハノンピアノ教本」の半音階を参考にさせていただいておりますが、これよりも違った運指もございますので、何かしらの曲本で指示されていた場合はその教本に則った運指で演奏してください。)
半音階の鍵盤上での動きは
白→黒→白→黒→白→白→黒→白→黒→白→黒→白→白
白鍵から黒鍵に全て順番に登場してくれれば問題ないのに、白鍵が連続する箇所があるということが大きな問題となります。この連続した白鍵の箇所を白鍵→黒鍵と順番に登場していた時の運指ではなく別の運指で演奏するとしっかりと言い聞かせて臨んでください。ついつい13131313・・・と13だけで乗り切ろうとはしないでくださいね。(右手の場合)


最後に同音連打の運指についてお話しします。

同音連打の運指

譜例の上段はバイエル原書番号90番の中間部です。この曲の右手部分が同音連打(連打というほど激しくはありませんが、同じ音を繰り返すということで例としてあげました。)の箇所になります。同じ音を数小節にわたり演奏することがよくあります。このような場合、その同じ音を同じ指で演奏し続けるということはあまりありません。バイエル90番の曲では6/8拍子の曲ですので、3拍は一まとまりとなり一つの塊を意識しやすいように、(○・・ ○・・)○を3指にして321321の運指を続けています。また①②③では四分音符を基本にして考えるなら、1拍分を目安に①では2121の運指を、②では321321の運指を、③では43214321の運指を続けていきます。先程のハノン教本でも②③の練習曲は出てきますし、ツェルニー30番練習曲では12番に321の運指の曲が、ツェルニー40番練習曲では22番に4321の運指の曲が登場します。また少し同音連打の変則的なものとしてブルグミュラー25の練習曲の9番狩りの右手の一部や23番帰り道の左手の一部などもございますので、同じ音だからと言っていつも同じ指で演奏しないように同音連打の練習も行ってみてください。


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