植田まさしの初期作品について

 植田まさしという漫画家は、一般的には4コママンガの第一人者という印象を持たれていると思います。しかし、たしかに、ばるぼら「四コマ漫画の巨匠・植田まさしを読み解く!来るべき植田将まさし批評のために」(「WEBSNIPER」)が指摘しているように、マンガ批評で彼の作品について聞くことは少なく、黙殺に近い扱いを受けているようです。ばるぼら氏は『植田まさし大全』のための資料を準備されているくらいの「植田まさし通」のようですが、上記の記事で植田の初期作品について言及しています。

 植田は、本名が「植田正通(うえだまさみち)」で、そこから「まちあみち」というペンネームを使っていたことが知られています。ばるぼら氏は、『週刊漫画TIMES』増刊(1971年10月28日号)に「衝撃マンガ2題」という題で、4コマ漫画2篇が1ページに掲載されているという指摘をされています。

 しかし、資料は『週刊漫画TIMES』に限る必要はないので、別の雑誌をあたってみると、上記「衝撃マンガ2題」からさかのぼること約1年、同じく芳文社から発行されていた『長編漫画傑作集』1970年9月号(創刊号)に「まち・あみち」名義で「ああ!チョンボ」という8コママンガが1ページ掲載されていることがわかります。これが最初かどうかはわかりませんが、「週刊漫画TIMES」増刊の以前に、同じ芳文社に持ち込んだ漫画が掲載されているということは指摘しておきたいと思います。内容はいたって普通のナンセンス漫画で、それほど特徴もなく、絵柄も後年のものとは少し違うのです。同誌にはその後もしばらく漫画が掲載されることになりますので、「まち・あみち」のマンガを集めている方は収集をおすすめします。「ああ!チョンボ」の一部を掲載させていただこうと思います。

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まち・あみち「ああ!チョンボ」(『長編漫画傑作集』1970年9月創刊号)。画像右は8コマまんがの1、2コマ目、左は5、6コマ目。

 というわけで、「巨匠」植田まさしの初期作品についての資料紹介でした。ばるぼら氏の『植田まさし大全』、刊行されたら是非読んでみたいです。


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