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すぎうらあきと『処女幻影―ILLUSION―』

「教授……」
「寒いの……」
「舐めて……死んじゃう」
「ジュル!」
「ジル!グジル!」
「ジルルル!」
「ブチュ ブチュ!」
「ムフ〜〜ッ」
「フ〜〜ッ」
「この味は」
「赤……!」
「ボタ…ボタ!」
「血への」
「想い出……」

 ということで、すぎうらあきと『処女幻影―ILLUSION―』(サン出版、昭和59年)です。すぎうらあきとの最初の作品集。全13篇。ほとんどせりふのない物語から始まって、少し驚きました。


 重い!とっても重いです!哀切だなあ。


 父と娘の近親相姦ものが印象的ですが、それが「暴力」と「処女喪失」とからみあって、血、血、血、血だらけ。私は女性のこの血が非常に苦手で、処女嫌いなので、心に傷を負いました。


 文学的が高いというか、「処女喪失」の精神性を追求していく物語が多い。幻影と幻想が真っ赤な血に彩られた世界。暴力による「処女喪失」が女性にとって持つ深刻な意味について、思いを新たにしました。

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