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ルールの違うゲームで戦う

今日は、仮説駆動型とデータ駆動型 (科研費.com)を読んで思ったこと。

”アメリカのような仮説駆動型至上主義はゲーム感覚” とある。

なるほど、そうかもしれない。

研究の種類

まず、いわゆる研究の種類には、仮説駆動型(hypothesis driven)とデータ駆動型(data driven)があると言われる。

仮説駆動型とは、
「ある仮説を事前に設定し、その仮説検証を行うことで実験を進める手法」
仮説駆動型(hypothesis driven)より、仮説立証実験(hypothesis proving)というのが正確かもしれない。

データ駆動型とは
「事前の仮説(バイアス)無しに対象を観察したり、データを取得したりし、それらの結果から何が言えるのかを考える手法」
データ駆動型(data driven)より、仮説生成実験(hypothesis making)の方が分かりやすい。

ここで気を付けるべき点は、
「データ駆動型ならバイアスが無い、ではない。」ということである。

バイアスによるデータの取得・解釈のゆがみとは、このような研究の種類とは独立した課題なのである。

研究の段階

この研究の種類はどういう関係なのか。

まだ研究上の仮説が存在せず、何が研究テーマになり得るのか判らないため、あらゆることを試す段階。

そして、研究上の仮説が定まり、それを証明する段階。

研究の段階によって、仮説生成→仮説証明研究の結果 となる。

どちらかが正しいというものではないのである。

つまり、仮説が生まれればそれを検証するし、検証した結果から新たな仮説を生むというように、これらは表と裏の関係ということ。

ところが・・・

科研費の申請の観点では、相性がいいのは仮説検証型の方、ストーリー、やるべきこともが明確で、仮説自体を予備データとしてアピール可能だからである。

米国の大学で終身在職権(テニュア)を得るためにも、トップジャーナルへ掲載されるにも、たとえデータに再現性が無いと言われても、仮説駆動型(仮説証明)至上主義であるという。
ある意味、”Quick and dirty proof of concept”(汚くてもいいから、素早くコンセプトを証明する)ことが徹底されているのだ。

ルールの違うゲームの戦い

話は変わるが、私はここ数年グローバル組織内で新しいプロセスやサービスを作る仕事に関わっている。

特に米国主導で提示されるプロセスやサービスは、本当に”Quick and Dirty”が徹底している。

意外と簡単に不整合が見つかるものが多い。それでも、自信満々に提供し宣伝を進める。日本チームは、その不整合が気になって仕方ない。その上、こう改善すれば良いのにと逆提案をしたくなる。

いや、違うんだ、これは。
70%か80%、いや、場合によっては50-60%程度の完成度でも、まず早く提供することに意味があるのだ。

これは、目的を達成するためゲームなのだ。

この思考を何度か繰り返してきた。今やおなじみのルーティン。

今日は、これを研究の世界もそうなのか。。。。と感じた。

というお話でした。



参考)https://科研費.com/


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