夜明けとなる夜、間もなく。

ーー解禁されたんだもの。大手を振って飲みに行ける。おまけに間もなくハロウィンだ。溜めに溜めた鬱憤を、ぎゅうぎゅうに詰まった濃縮欲求を、ババーンとド派手に解き放してやろうじゃないの。ーー

　職場で根をつめる若者は、にっくき仇を相手取ったように、長きに渡った自粛期間を睨みつけていた。
　街行けば、夜風がネオンを連れてくる。そろそろクイっと、と誘ってくる。店内から溢れくる談笑、どよめき、高笑い。まるで夜が明けた朝のように淀みのない笑顔を宵闇に光らせる。

「そろそろオイラも」「アタイも」仮装に紛れ、『忍を捨てよう、街に出よう』。

　間もなくハロウィン。期待も非難もごっちゃになって、夜明けとなる（かもしれない）夜がやってくる。