涼しい顔して。

　エアコンが逝って、真夏が背中に張り付いた。猛暑お化けは昼夜を問わずまとわり付いてくるものだから、夜は不眠で、昼間は寝不足。これじゃたまらんと、近所の電気屋さんに駆け込んだ。ら、「主人は出かけておりまして。週末イベントあるし、対応は週明けですかね」と、こっちの事情は対岸の火事扱いで、猛暑の払拭どこへやら。もう１軒を訪ねたら、注文で入荷まで数日かかるがそれでいい？　と訊かれた質問に、二つ返事でへいへいおねげえしますだと頭を下げた。

　ちなみに、ネット販売と家電量販店の値段を調べてみた。取り付けるだけならば、ネット販売がいちばん安い。ところが付け替えとなると話が違ってくる。第一、ネット販売には壊れたエアコンの回収費用は書かれていない。いったいいくらかかるんだ？
　量販店で聞けば白日の元に晒されるはずで、尋ねるのに訪ねたら、総支払額はなんと近所の電気屋さんと変わらない。

　なんじゃこりゃ⁉︎

　家電は、とくにエアコンはかつて量販店が一番安いと人々は口を揃えていたけれど、今や撤収費用までの合計は、おしなべて平準化されちゃったのね。
　
　北の国では避暑は過去のものとなり、三種の神器に四番手としてエアコンが加わって、新たに設置する家庭が激増中。壁に穴を開けるひと手間要るが、古いエアコンの回収は必要ない。取り付け工賃だけでエアコンが設置される。
　ところが夏は冷房が当たり前の非北の国では、ほとんどが設置済みで、壊れりゃ交換、壁に穴は開いているから穴開け作業は不要だけれど、壊れたエアコンの処分費用が上乗せされる。
　ここに落とし穴がぱっくり口を開けて待っていた。
　
　今年は北国の実家でエアコン新設、こっちで交換と、エアコンに憑かれた年となった。
　だから、というわけではないけれど、例年以上に涼んでやるんだもんね。　

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