ぷっちんスイッチ。
怒らなくてもいいところで、感情の昂りに合わせて声を荒げてしまうことがある。針に糸を通そうとしている時に、ちょっと待ってと何度もお願いしているのに、しつこく「ごはん」「ごはん」のシュプレヒコール。
わかったから、終わったら。
言い終えた途端に膝に乗ってきて。
「危ないじゃないの! 何やってるのよっ!」
ぷっちんスイッチ、入る。
たまに怒ったっていいじゃない、堪忍袋の緒が切れたっていいじゃない、人間だものーーでもそれって、自分の言い訳。誰に対しても優しくない。自分都合の独裁者、我が家のプーチンみたいなもん。
あいつは隅っこまで走っていって、小さな体を縮こめてしまってる。
感情が昂ってる時にアクションのスイッチ入れると、直後に苦味を噛み締めることになる。だから普段から気をつけているっていうのにさ。
反省点はあるよ。針に糸を通すのを後にまわせばよかったなって。それだけで、地球は平穏無事に回っていたはずなんだ。
隅っこでうるうるしている彼にとっては天変地異で、晴天の霹靂だったわけだけどね。
ごめんね。
やってしまったことは取り返せないけど、ささやかな償いを。
「今日はカリカリにチュールをつけちゃう。どうだ」
そういや子供のころ、よくぷっちんプリンで誤魔化されていたっけな。許容の幅の狭さは母親譲り。私も今、お母さんと同じことしてる。親子だなあ。
梅雨が終わった夏の晴れ間に、この猫を連れて帰ってみるか。今年は大手を振って帰省ができる。
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