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変化球青椒肉絲。

 牡蠣アレルギーを持つ人がいるからオイスターソースは使えない。なのにリクエストは青椒肉絲。しかも用意されていたのは通常使用される牛肉ではなく豚肉。青椒肉絲は、辛味を抜いた唐辛子味の肉の細切り炒めだから、オイスターソースと牛肉を使わずとも青椒肉絲に変わりはない。だから、まっ、これでいくか。

 諸事情により、オイスターソースを使わない豚肉細切りの青椒肉絲を作る。

 細切りにされていない豚肉は、できたら薄めのトンカツ用を包丁で切ったほうが食感が出るから好ましいが、用意されていたのは生姜焼き用を少し厚手にしたようなポークソテー用。すでにあるもので調理しなければならず、文句を言える立場じゃないので早速取りかかる。

 まずは肉を細く切り×切り。ピーマンも細く切り×切り。このピーマンの細切りで手を抜くと食感に致命傷を招く。だから名のある中華料理店の青椒肉絲を思い浮かべながら、接客サービス・マックスの体で丁寧に、縦半分にしたピーマンをさらに縦に切って、まな板にねじ伏せられたらひとかけらずつ丁寧に包丁を入れていく。
 タケノコはシーズンでなければ水煮になり柔らかめになるけど、これは致し方ない。少し緩めで細切りすると型崩れを起こすけれども、ボソボソバラバラにならない手前で極力薄切りにする。
 さあ、これで食材の下準備はできたぞ、と。

 いよいよ調理に取り掛かる。
 フラパンに火を入れたらあとは時間との戦い。とくにピーマンは、火は入れるがシャキッとした食感を損なってはいけない。
 さあて。調理に必要な調味料も調理前にすべて用意しておかなければならない。サラダ油にごま油、直前に水溶きにする片栗粉を大匙2、そして味付け用の調味料。オイスターソースの代わりは醤油とミリン、これにラー油と少量の酢を混ぜておく。牡蠣の風味の代用は、味のバランスを崩す怖さがあるので余分な味は足さず、そこは引き算のまま調理に取り掛かる。

 フライパンを熱したら、サラダ油とごま油大さじ1ずつを投入し、熱が回ったらそこに豚肉を放り込む。色が変わり肉にハリが出てきたらタケノコを入れる。タケノコに火がまわったら、最後にピーマンだ。ピーマンは先ほども述べたように食感が大事。青椒肉絲の命と言ってもいい。火は入れるが火が通り切る手前が美味いので、決して炒めすぎないこと。
 そしてそこに味付け用の調味料を入れて一気に味を馴染ませる。直後、コップ3分の1の水を入れ一息に煮たて、水で溶いた片栗粉を投入。とろみ具合が現れたらフライパンを火からおろし、とろみの調整をして完成。
 素材の分量はお好み次第だが、色味と食感のバランスから、細切り肉>ピーマン>タケノコにするとよろしかと。

 味が足りなかったら醤油と酢、ラー油で調整。オイスターソースの青椒肉絲と違って味の深みは減るが、調味料直球のパンチ力自慢の青椒肉絲に仕上がる。

 口中に広がる刺激的な一品、オイスターソースが苦手な方に。また、オイスターソースを買い忘れたけど青椒肉絲が食べたくなった方、いかがかな?

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