見出し画像

抜け殻を思う。

 かつてこうせつ君は「古いコートを捨てて」と歌った。確かに着古せば捨てざるを得なくなるのだろうけど、古くなったからじゃない。小さくなったからなんだ。

 成長するって、そういうことでしょう?

【青春の1枚、もちろん心にしまっとく】

 古いコートと違うのは、断捨離に値せず、なんだ。脱ぎ捨てた「これまで」の容器は、着古したコートと違ってかさばるものじゃない。心の肥やしとなった無実体の抜け殻は、記憶の思い出BOXにデジタル収納。「これから」を迎えるにあたり、実体を伴う手枷、足枷、しがらみは、足手まといでしかないからね。

 君の胸に身軽ないでたちで飛び込んでいくためにも。
 今でもずっと信じているよ。君は「古いコートを捨てたら、ぼくの胸でおやすみ」と言ってくれたあの日のひと言を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?