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明日に架からない橋。
少子化を問題視する記事が今日また新聞に掲載されていた。
少子化対策には、「明るい未来を」と視点をずらしたまやかしがある。要は将来の経済安定と国力保持の骨格であり、生活者とは直接的な関わりはない。それをさも「あなたのことなんですよ」と親身面を近づけて脅してくる。
たしかに関係がないとは言い切れない。「政府と経済を肥やしてくれれば、おこぼれであなたにも巡り巡っていずれ潤う時が来るのですよ」と、つまりはそういうことなのだ。
施策の数々を支える政策が骨太なのかどうかはわからない。だが、どうやらそこには少数精鋭の発想は少しもなさそうだ。一致団結一蓮托生の人海戦術で、これまで成功を収めてきた轍を踏もうという魂胆だけが惰性を帯びた投石のように放られてくる。
労働力の確保ならリタイア組の再雇用を、と、とってつけたような対処方法しか採れなかったことのほうこそ問題に思うのだがどうだろう。安い賃金で採用できるはずの新人が確保できないなら、リタイア組の賃金をダンピングしてしまえば帳尻が合うーーそんな安易な転化が悪循環を生んでいる。再雇用組は叩かれた賃金に見合わぬ質を求められ、それでもぶら下げられたニンジンを手にできる日が遠のけられたせいで、歯を食いしばって失われた安寧を埋めるように藁をも掴む。掴まざるを得なくさせられる。
労働を延長された側に不満が募らぬはずがない。だが、そうした彼らを満足させてしまうと企業の懐事情は危うくなるし、年功序列が再燃すると、遠のく出世への道に、今度は若手が面白くなくなってくる。
循環の歯車がちっともいい方向に回ってる気がしない。
新婚さんが望みをつなごうと目論んでいた家にいるはずのジジババは仕事のオンタイム中で肝心な時間帯に家にはいないし、頼みの綱の保育園も同じような環境下で育児する家庭が増えてるものだから、争奪戦の火花は激しさを増すばかり。
焼石に水というよりも、吊り橋に渡された板が足りず、剥がしては向かう方向に順繰り使い回している感じ。これではいつまで経っても後続が橋を渡れない。映画と違ってこの橋は明日へは架からない。
世界人口も増えつつあることだし、少子化に合わせてダウンサイジング。政府もそろそろ少政治家体制で、身の丈に合わせた譲歩の道を考えてみてはいかがだろう。
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