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手を伸ばせば届きそうなのに。

 でも、あと少しのところで届かない。そんな歯痒さは、幸せ。



 手に入れてきたものは山ほどあるけれど、届かなかったものはその山をすっぽり包み込んでしまうほどたくさんある。

 精神が迷路を迷走してたころは躍起になって出口を探したけど、達観が迷走を追い越したら、迷いは口に含んだ綿菓子みたいに、甘く切なく消えていった。
 残ったものは、余韻。手を伸ばしたのに届かなかったねという、音叉に揺れるもどかしさが、にがさを残したまま薄く笑みを引いていく。

 手に入っていたら、にがさも薄い笑みも尾を引かない。

 尾を引く余韻に浸れる幸せ。
 
 暮れゆく2021の振り返り。余すところのたった2日じゃとてもじゃないけど時間が足りない。それでも2022はやってくる。手を伸ばさずとも、向こうからちゃっちゃか足速でやってくる。
「たった2日しか」を「まだ2日も」に切り替えて振り返り。ひとつでも多くの余韻に手が届きますように。

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